高校数学 — 目次 付録A

付録A演習問題の解答

各章末の演習問題の完全な解答をまとめる.解答を読む前に,必ず一度は自分で手を動かしてほしい. 途中で行き詰まったら,章末のヒントと本文の例題に戻ってから,ここを読むとよい. 各解答の末尾から,その章に戻ることができる.

第1章 論理と集合

演習1.1 命題の判定

解答

(a) $\sqrt2$ が無理数である,すなわち分数(2つの整数の比)で表せないことは,正しいか正しくないかが明確に決まる主張である.よって命題であり,実際に真である($\sqrt2$ が無理数であることは背理法で証明できる古典的な事実である).

(b) 「難しい」は人によって感じ方が異なり,正しいか正しくないかが明確に決まらない.よって命題ではない.

(c) 「すべての自然数$n$について,$n^2+n$は偶数である」は明確に真偽が決まる主張なので命題である.真偽については,$n^2+n=n(n+1)$ と因数分解できる.$n$と$n+1$は連続する2つの整数だから,必ず一方が偶数でもう一方が奇数であり,偶数と奇数の積は偶数になる.したがって $n(n+1)=n^2+n$ はすべての自然数$n$について偶数であり,この命題は真である.

演習1.2 必要条件・十分条件(倍数)

解答

「$x$が4の倍数である」ならば,ある整数$m$を用いて $x=4m=2(2m)$ と書けるから,$x$は2の倍数でもある.よって命題「$x$は4の倍数である $\Rightarrow$ $x$は2の倍数である」は真であり,「$x$は4の倍数である」ことは「$x$は2の倍数である」ための十分条件である.

逆の命題「$x$は2の倍数である $\Rightarrow$ $x$は4の倍数である」は偽である.反例として $x=6$ を挙げる.$6=2\times3$ は2の倍数だが,$6\div4=1$ 余り$2$ であり4の倍数ではない.よって「$x$は2の倍数である」ことは「$x$は4の倍数である」ための必要条件ではない.まとめると,「4の倍数である」は「2の倍数である」ための十分条件だが必要条件ではなく,逆に「2の倍数である」は「4の倍数である」ための必要条件だが十分条件ではない.

演習1.3 必要十分条件(2次方程式)

解答

$x^2-3x-4$ を因数分解する.積が$-4$,和が$-3$になる2つの整数を探すと,$-4$と$1$($-4\times1=-4$,$-4+1=-3$)が見つかるから,

$$ x^2-3x-4=(x-4)(x+1) $$

と書ける.積が$0$になるのは,どちらか一方の因数が$0$のときに限るから,

$$ x^2-3x-4=0 \iff (x-4)(x+1)=0 \iff x-4=0 \text{ または } x+1=0 \iff x=4 \text{ または } x=-1 $$

である.この式変形は両方向とも成り立つ($\iff$)ので,「$x^2-3x-4=0$」であることと「$x=4$ または $x=-1$」であることは同値である.

演習1.4 逆・裏・対偶

解答

もとの命題「$x\gt2 \Rightarrow x^2\gt4$」:$x\gt2$ ならば,両辺は正なので2乗の大小関係が保たれ,$x^2\gt2^2=4$ となる.よって真である.

逆:$x^2\gt4 \Rightarrow x\gt2$.これは偽である.反例は $x=-3$:$(-3)^2=9\gt4$ を満たすが,$-3\gt2$ は満たさない.

裏:$x\le2 \Rightarrow x^2\le4$.これも偽である.反例は同じく $x=-3$:$-3\le2$ を満たすが,$(-3)^2=9\le4$ は満たさない.

対偶:$x^2\le4 \Rightarrow x\le2$.これは真である.$x^2\le4$ より $-2\le x\le2$ であり($x^2\le4 \iff |x|\le2$),これは特に $x\le2$ を含んでいる.もとの命題が真だから,対偶も真になる(本文1.4節の議論のとおり).

演習1.5 対偶による証明

解答

もとの命題「$n^2$が3の倍数ならば,$n$は3の倍数である」の対偶は,「$n$が3の倍数でないならば,$n^2$も3の倍数でない」である.この対偶を証明する.

$n$が3の倍数でないとき,$n$を3で割った余りは$1$か$2$のいずれかである.

余りが1の場合:ある整数$k$を用いて $n=3k+1$ と書ける.このとき

$$ n^2=(3k+1)^2=9k^2+6k+1=3(3k^2+2k)+1 $$

となり($(3k+1)^2$ を展開し,$9k^2+6k$ が3の倍数であることを使って $3\times(\text{整数})+1$ の形にくくり出した),$n^2$ を3で割った余りは$1$であって$0$ではない.すなわち$n^2$は3の倍数ではない.

余りが2の場合:ある整数$k$を用いて $n=3k+2$ と書ける.このとき

$$ n^2=(3k+2)^2=9k^2+12k+4=3(3k^2+4k+1)+1 $$

となり($9k^2+12k+4=9k^2+12k+3+1=3(3k^2+4k+1)+1$ と,$4$を$3+1$に分けてからくくり出した),この場合も$n^2$を3で割った余りは$1$であって$0$ではない.すなわち$n^2$は3の倍数ではない.

以上より,$n$が3の倍数でない(余りが1または2の)とき,$n^2$も3の倍数にならないことが示された.これは対偶が真であることを意味するから,もとの命題「$n^2$が3の倍数ならば,$n$は3の倍数である」も真である.

(証明終わり)

演習1.6 真理集合と条件の関係

解答

条件$p$の真理集合は,定義よりそのまま

$$ P=\{1,2,3,4,5\} $$

である.条件$q$「$x$は5以下の素数である」について,5以下の自然数 $1,2,3,4,5$ のうち素数(1とその数自身以外に約数を持たない,2以上の整数)であるものを調べると,$2,3,5$ が素数であり,$1$は素数ではなく(素数の定義から除かれる),$4=2\times2$ は素数ではない.よって

$$ Q=\{2,3,5\} $$

である.$Q$のすべての要素($2,3,5$)は$P=\{1,2,3,4,5\}$にも含まれているから,$Q\subset P$ が成り立つ.一方,$P$の要素である$1$は$Q$には含まれていない($1$は素数ではない)ので,$P\subset Q$ は成り立たない.

定理1.1(本文1.5節)により,$Q\subset P$ は「$q\Rightarrow p$ が真である」こと,すなわち「$q$は$p$であるための十分条件」であることと同じである.これを$p$の側から見ると,「$p$は$q$であるための必要条件である」(ただし十分条件ではない.反例は$x=1$:$p$は満たすが$q$は満たさない)ということになる.

第2章 三角形の性質

演習2.1 内角・外角の二等分線

解答

内分点$P$. 定理2.1より$BP:PC=AB:AC=5:8$である.$BP+PC=BC=7$であり,$5:8$は「$7$を$5+8=13$等分したうちの$5$個分と$8$個分」を意味するから,

$$ BP=7\times\frac{5}{13}=\frac{35}{13},\qquad PC=7\times\frac{8}{13}=\frac{56}{13} $$

である(検算:$BP+PC=\frac{35}{13}+\frac{56}{13}=\frac{91}{13}=7=BC$,$BP:PC=35:56=5:8=AB:AC$).

外分点$Q$. $AB\neq AC$($5\neq8$)なので定理2.2が使え,$BQ:CQ=AB:AC=5:8$である.$AB\lt AC$なので,外分点$Q$は辺$BC$の延長のうち$B$を越えた側にある(例題2.2とは逆に,$A$に近い辺が短い側——ここでは$AB$の側——に$Q$が出る).座標のように$B=0,C=7$とおき,$Q$の位置を$q$($q\lt0$)とすると,$BQ=-q$,$CQ=7-q$であり,

$$ \frac{BQ}{CQ}=\frac{-q}{7-q}=\frac{5}{8} $$

より$-8q=5(7-q)=35-5q$,すなわち$-8q+5q=35$,$-3q=35$,$q=-\dfrac{35}{3}$.よって

$$ BQ=-q=\frac{35}{3},\qquad CQ=7-q=7+\frac{35}{3}=\frac{56}{3} $$

である(検算:$BQ:CQ=\frac{35}{3}:\frac{56}{3}=35:56=5:8=AB:AC$,かつ$q=-\frac{35}{3}\lt0$より$Q$は確かに$B$を越えた延長上にある).

演習2.2 正三角形の五心

解答

正三角形$ABC$($AB=BC=CA$)では,頂点$A$から辺$BC$へ引いた中線($BC$の中点$L$へ向かう線分$AL$)を考える.$\triangle ABL$と$\triangle ACL$は,$AB=AC$(正三角形の性質),$BL=CL$($L$は中点),$AL$共通の3辺がそれぞれ等しいから合同である.したがって$\angle ALB=\angle ALC$であり,この2つの角は$L$で足すと$180^\circ$(一直線)になるから,それぞれ$90^\circ$である.また合同より$\angle BAL=\angle CAL$でもある.

つまり,頂点$A$からの中線$AL$は,同時に:(i) 辺$BC$に垂直だから辺$BC$の垂線でもあり,(ii) $L$が$BC$の中点だから辺$BC$の垂直二等分線でもあり,(iii) $\angle BAL=\angle CAL$だから$\angle A$の二等分線でもある.すなわち,中線・垂線・垂直二等分線・角の二等分線という4種類の特別な線が,正三角形では頂点$A$から見てすべて同じ1本の線$AL$に一致してしまう.頂点$B,C$についても同じことが起こる.

したがって,3本の中線の交点である重心,3本の垂線の交点である垂心,3辺の垂直二等分線の交点である外心,3つの角の二等分線の交点である内心は,どれも「同じ3本の線(各頂点からの$AL,BM,CN$にあたる線)の交点」を指すことになり,4点はすべて同じ1点に一致する.

演習2.3 中線定理の利用

解答

$BM=\dfrac{BC}{2}=4$である.中線定理(定理2.4)より

$$ AB^2+AC^2=2\bigl(AM^2+BM^2\bigr) $$ $$ 7^2+5^2=2\bigl(AM^2+4^2\bigr) $$ $$ 49+25=2\,AM^2+32 $$ $$ 74-32=2\,AM^2 $$ $$ AM^2=\frac{42}{2}=21 $$

$AM>0$だから$AM=\sqrt{21}$である($\sqrt{21}$は整数にならないが,これは正しい答えである.$\sqrt{21}\approx4.58$).

演習2.4 チェバとメネラウスの違い

解答

幾何学的な違い. チェバの定理は,$3$本の線分$AP,BQ,CR$——それぞれ三角形の頂点と対辺(の内分点)を結ぶ線分——が三角形の内部の1点で交わる状況についての定理である.図2.11のとおり,$R,P,Q$は3辺それぞれの内分点になっているのがふつうである.これに対してメネラウスの定理は,三角形の頂点を通らない1本のまっすぐな直線が,3辺(を含む直線)を切る状況についての定理である.図2.12のとおり,この直線は三角形の周を横切るので,$R,P,Q$のうち延長上(外分点)になるものの個数は必ず奇数個($1$個または$3$個)であり,偶数個($0$個や$2$個)にはならない——3辺すべてを内分点で切ることはできない(もしできれば,直線は三角形の内部だけを通って外に出られないことになり,矛盾する).

覚え方が共通して使える理由. どちらの定理も,同じ形の式$\dfrac{AR}{RB}\times\dfrac{BP}{PC}\times\dfrac{CQ}{QA}=1$を主張しており,この式の中身は「$A\to R\to B$,$B\to P\to C$,$C\to Q\to A$と,三角形の周を1周する向きに,分子と分母を交互に読む」という同じ規則で作られている.チェバの定理では点$X$(交点)からの面積比の連鎖として,メネラウスの定理では直線$\ell$までの距離の比の連鎖として,証明の中身はまったく別のものを使っているにもかかわらず,どちらも「$3$つの比を辺に沿って1周する順に掛け合わせるとちょうど打ち消し合って$1$になる」という同じ構造をしている.だからこそ,暗記のための「周る順番」だけは共通に使えるのである.

演習2.5 中線とチェバの定理

解答

中線がチェバの関係式を満たすこと. 中線の場合,$R,P,Q$はそれぞれ辺$AB,BC,CA$の中点だから,$AR=RB$,$BP=PC$,$CQ=QA$であり,

$$ \frac{AR}{RB}=1,\qquad \frac{BP}{PC}=1,\qquad \frac{CQ}{QA}=1 $$

である.したがって

$$ \frac{AR}{RB}\times\frac{BP}{PC}\times\frac{CQ}{QA}=1\times1\times1=1 $$

となり,チェバの定理の関係式を満たす.

定理2.3の別証明. 2.4.1項の数学ノートで述べたように,チェバの定理の逆——関係式$\dfrac{AR}{RB}\times\dfrac{BP}{PC}\times\dfrac{CQ}{QA}=1$が成り立つならば,$AP,BQ,CR$は1点で交わる——も成り立つ.いま示したとおり,中線$AL,BM,CN$(本問の$R,P,Q$はそれぞれ$N,L,M$にあたる)はこの関係式を満たすから,チェバの定理の逆により,$AL,BM,CN$の3本は1点で交わる.これが定理2.3の主張(3本の中線が1点,すなわち重心で交わる)そのものであり,2.2.1項の中点連結定理を使った証明とは別の道筋で,同じ結論に到達できたことになる.

演習2.6 直角三角形の外接円・内接円

解答

外接円の半径$R$. 例題2.6で示したとおり,直角三角形では外心は斜辺の中点であり,外接円の半径は斜辺の半分に等しい.斜辺は$AB=13$だから,

$$ R=\frac{AB}{2}=\frac{13}{2} $$

である.

内接円の半径$r$. $\angle C=90^\circ$なので面積は$S=\dfrac12\times CA\times CB=\dfrac12\times5\times12=30$である.半周長は$s=\dfrac{5+12+13}{2}=15$.例題2.7と同じ公式$r=\dfrac{S}{s}$を使うと

$$ r=\frac{30}{15}=2 $$

である.

第3章 図形と計量 — 三角比・正弦定理・余弦定理

演習3.1 三角比の基本関係式

解答

定理3.1($\sin^2\theta+\cos^2\theta=1$)より,

$$ \cos^2\theta=1-\sin^2\theta=1-\left(\frac13\right)^2=1-\frac19=\frac89 $$

$\theta$は鋭角なので$\cos\theta\gt0$である.よって

$$ \cos\theta=\sqrt{\frac89}=\frac{2\sqrt2}{3} $$

($\sqrt8=2\sqrt2$,$\sqrt9=3$ を使った).次に定理3.2($\tan\theta=\sin\theta/\cos\theta$)より,

$$ \tan\theta=\frac{\sin\theta}{\cos\theta}=\frac{1/3}{2\sqrt2/3}=\frac{1}{2\sqrt2}=\frac{\sqrt2}{4} $$

(分母を有理化した:$\dfrac{1}{2\sqrt2}=\dfrac{1\times\sqrt2}{2\sqrt2\times\sqrt2}=\dfrac{\sqrt2}{4}$).最後に,定理3.3が成り立つことを確認する.左辺は

$$ 1+\tan^2\theta=1+\left(\frac{\sqrt2}{4}\right)^2=1+\frac{2}{16}=1+\frac18=\frac98 $$

右辺は

$$ \frac{1}{\cos^2\theta}=\frac{1}{8/9}=\frac98 $$

両辺とも$\dfrac98$となり一致するので,$1+\tan^2\theta=1/\cos^2\theta$ が確かに成り立つ.

演習3.2 正弦定理

解答

正弦定理$\dfrac{a}{\sin A}=2R$に$a=10$,$A=30°$を代入すると,

$$ 2R=\frac{10}{\sin30°}=\frac{10}{1/2}=20 \quad\Longrightarrow\quad R=10 $$

次に,$b=2R\sin B$(正弦定理$\dfrac{b}{\sin B}=2R$を$b$について解いた形)に$R=10$,$B=45°$を代入すると,

$$ b=2\times10\times\sin45°=20\times\frac{\sqrt2}{2}=10\sqrt2 $$

である($10\sqrt2\approx14.14$).

演習3.3 余弦定理と鋭角・鈍角の判定

解答

3辺$a=7,b=8,c=5$のうち,最大辺は$b=8$である.三角形の中で最も大きい角は,最も長い辺の対角だから,$\angle B$が最大角であり,これが鋭角か鈍角かを調べればよい.余弦定理を$B$について解いた形

$$ \cos B=\frac{c^2+a^2-b^2}{2ca} $$

に数値を代入すると,

$$ \cos B=\frac{5^2+7^2-8^2}{2\times5\times7}=\frac{25+49-64}{70}=\frac{10}{70}=\frac17 $$

$\cos B=\dfrac17\gt0$なので,$\angle B$は鋭角である.最大角が鋭角なのだから,他の2角($A,C$)はそれより小さく,したがってすべての角が鋭角である.よってこの三角形は鋭角三角形である.

演習3.4 余弦定理と正弦定理の併用

解答

まず余弦定理$c^2=a^2+b^2-2ab\cos C$に$a=6,b=4,C=60°$を代入する.

$$ c^2=6^2+4^2-2\times6\times4\times\cos60°=36+16-48\times\frac12=52-24=28 $$

$c\gt0$より$c=\sqrt{28}=2\sqrt7$($28=4\times7$より$\sqrt{28}=2\sqrt7$).

次に正弦定理$\dfrac{a}{\sin A}=\dfrac{c}{\sin C}$を$\sin A$について解くと,$\sin A=\dfrac{a\sin C}{c}$である.$\sin60°=\dfrac{\sqrt3}{2}$を使って数値を代入すると,

$$ \sin A=\frac{6\times\dfrac{\sqrt3}{2}}{2\sqrt7}=\frac{3\sqrt3}{2\sqrt7}=\frac{3\sqrt3\times\sqrt7}{2\sqrt7\times\sqrt7}=\frac{3\sqrt{21}}{14} $$

(分母を有理化した).よって$\sin A=\dfrac{3\sqrt{21}}{14}$($\approx0.982$)である.

演習3.5 弧度法

解答

弧の長さの公式$l=r\theta$に$l=4\pi$,$r=6$を代入すると,

$$ 4\pi=6\theta \quad\Longrightarrow\quad \theta=\frac{4\pi}{6}=\frac{2\pi}{3}\ (\mathrm{rad}) $$

度数法に直すには,第3章の式($180°=\pi\,\mathrm{rad}$,すなわち$1\,\mathrm{rad}=180°/\pi$)を使う.

$$ \frac{2\pi}{3}\,\mathrm{rad}=\frac{2\pi}{3}\times\frac{180°}{\pi}=\frac{2}{3}\times180°=120° $$

($\pi$が約分されて消える).よって中心角は$\dfrac{2\pi}{3}\,\mathrm{rad}=120°$である.扇形の面積は公式$S=\dfrac12 r^2\theta$より,

$$ S=\frac12\times6^2\times\frac{2\pi}{3}=\frac12\times36\times\frac{2\pi}{3}=18\times\frac{2\pi}{3}=12\pi $$

である.

演習3.6 余弦定理から三平方の定理を一般に導く

解答

余弦定理$a^2=b^2+c^2-2bc\cos A$に$A=90°$を代入する.定義3.2(単位円による一般角の定義)より$\cos90°=0$($90°$に対応する単位円周上の点は$(0,1)$であり,そのx座標が$\cos90°$だから)である.よって,$b,c$を文字のままにして代入すると,

$$ a^2=b^2+c^2-2bc\cos90°=b^2+c^2-2bc\times0=b^2+c^2-0=b^2+c^2 $$

となる.$b,c$は任意の($\angle A=90°$を挟む2辺の長さを表す)文字のままなので,これは特定の数値の場合だけでなく,$\angle A=90°$であるすべての直角三角形について,三平方の定理$a^2=b^2+c^2$が成り立つことを示している.

第4章 図形と方程式

演習4.1 数直線上の内分点・外分点

解答

公式4.1(第4章の式)で $a=-4,b=6,m=3,n=2$ とすると,内分点$P$は,

$$ x = \frac{na+mb}{m+n} = \frac{2\times(-4)+3\times6}{3+2} = \frac{-8+18}{5} = \frac{10}{5} = 2 $$

よって $P(2)$ である.公式4.2(第4章の式)で外分点$Q$($m=3\neq n=2$なので定義できる)は,

$$ x = \frac{-na+mb}{m-n} = \frac{-2\times(-4)+3\times6}{3-2} = \frac{8+18}{1} = 26 $$

よって $Q(26)$ である.

演習4.2 平面上の内分点・外分点

解答

公式4.3(第4章の式)で $x_1=2,y_1=5,x_2=8,y_2=-1,m=2,n=3$ とする.内分点$P$は,

$$ P\left(\frac{3\times2+2\times8}{2+3},\ \frac{3\times5+2\times(-1)}{2+3}\right) = \left(\frac{6+16}{5},\ \frac{15-2}{5}\right) = \left(\frac{22}{5},\ \frac{13}{5}\right) $$

外分点$Q$($m=2\neq n=3$なので定義できる,分母は $m-n=-1$)は,

$$ Q\left(\frac{-3\times2+2\times8}{2-3},\ \frac{-3\times5+2\times(-1)}{2-3}\right) = \left(\frac{-6+16}{-1},\ \frac{-15-2}{-1}\right) = \left(\frac{10}{-1},\ \frac{-17}{-1}\right) = (-10,\ 17) $$

よって内分点は $\left(\dfrac{22}{5},\dfrac{13}{5}\right)$,外分点は $(-10,17)$ である.

演習4.3 三角形の重心

解答

(i) 公式4.4(第4章の式)より,

$$ G\left(\frac{2+5+(-4)}{3},\ \frac{-1+4+3}{3}\right) = \left(\frac{3}{3},\ \frac{6}{3}\right) = (1,\ 2) $$

(ii) 辺$CA$の中点$N$を経由して確かめる.$N=\left(\dfrac{-4+2}{2},\dfrac{3+(-1)}{2}\right)=(-1,\ 1)$.重心$G$は中線$BN$を$BG:GN=2:1$に内分する点だから,公式4.3($1$番目の点を$B$,$2$番目の点を$N$として $m=2,n=1$)より,

$$ G\left(\frac{1\times5+2\times(-1)}{2+1},\ \frac{1\times4+2\times1}{2+1}\right) = \left(\frac{5-2}{3},\ \frac{4+2}{3}\right) = \left(\frac{3}{3},\ \frac{6}{3}\right) = (1,\ 2) $$

(i)と(ii)はどちらも $G(1,2)$ となり一致する.

演習4.4 点と直線の距離(基本)

解答

公式4.6(第4章の式)で $x_1=0,y_1=0,a=5,b=-12,c=26$ とすると,

$$ d = \frac{|5\times0-12\times0+26|}{\sqrt{5^2+(-12)^2}} = \frac{|26|}{\sqrt{25+144}} = \frac{26}{\sqrt{169}} = \frac{26}{13} = 2 $$

よって距離は $2$ である($5$-$12$-$13$は,$3$-$4$-$5$とならぶ有名な整数の直角三角形の組である).

演習4.5 点と直線の距離の比較

解答

公式4.6(第4章の式)で $a=3,b=4,c=-12$ とする.点$(1,1)$との距離は,

$$ d_1 = \frac{|3\times1+4\times1-12|}{\sqrt{3^2+4^2}} = \frac{|3+4-12|}{\sqrt{9+16}} = \frac{|-5|}{5} = \frac{5}{5} = 1 $$

原点$(0,0)$との距離は,

$$ d_2 = \frac{|3\times0+4\times0-12|}{\sqrt{3^2+4^2}} = \frac{|-12|}{5} = \frac{12}{5} = 2.4 $$

$d_1=1$,$d_2=2.4$ で $d_1\lt d_2$ だから,点$(1,1)$の方が直線 $3x+4y-12=0$ に近い.(参考:$3\times1+4\times1-12=-5\lt0$,$3\times0+4\times0-12=-12\lt0$ で,2点はどちらも直線に対して同じ側(原点を含む側)にある.)

演習4.6 外分点の公式で $m=n$ のとき

解答

公式4.2(第4章の式)で $a=1,b=5,m=1,n=1$ とすると,

$$ x = \frac{-na+mb}{m-n} = \frac{-1\times1+1\times5}{1-1} = \frac{4}{0} $$

となり,分母が$0$になるため,$x$の値は定まらない(この計算は意味を持たない).すなわち,公式4.2は $m=n$ のとき使えない.

幾何学的には,次のように説明できる.$m:n=1:1$で外分するとは,「線分$AB$の外側にあって,$A,B$から等距離にある点」を探すことである.しかし数直線上で$A,B$から等距離にある点は,$A$と$B$のちょうど真ん中,すなわち中点ただ1つしかなく,それは線分$AB$の内側の点である.線分の外側で$A,B$から等距離になる点は存在しない(外側にある点は,$A,B$のどちらか一方に必ず近くなる).したがって,$m=n$のときの外分点は存在せず,公式4.2の分母が$0$になるのは,この「存在しない」という事実が数式にそのまま反映されたものである.

第5章 三角関数の加法定理と諸公式

演習5.1 加法定理の利用

解答

$\alpha$ は鋭角で $\sin\alpha=\dfrac35$ だから,$\cos\alpha>0$ であり,$\cos^2\alpha=1-\sin^2\alpha=1-\dfrac{9}{25}=\dfrac{16}{25}$ より $\cos\alpha=\dfrac45$.同様に $\beta$ は鋭角で $\cos\beta=\dfrac{5}{13}$ だから,$\sin\beta>0$ であり,$\sin^2\beta=1-\cos^2\beta=1-\dfrac{25}{169}=\dfrac{144}{169}$ より $\sin\beta=\dfrac{12}{13}$.

公式5.3(正弦の加法定理)に代入すると,

$$ \sin(\alpha+\beta)=\sin\alpha\cos\beta+\cos\alpha\sin\beta=\frac35\cdot\frac{5}{13}+\frac45\cdot\frac{12}{13}=\frac{15}{65}+\frac{48}{65}=\frac{63}{65} . $$

公式5.2(余弦の加法定理)に代入すると,

$$ \cos(\alpha-\beta)=\cos\alpha\cos\beta+\sin\alpha\sin\beta=\frac45\cdot\frac{5}{13}+\frac35\cdot\frac{12}{13}=\frac{20}{65}+\frac{36}{65}=\frac{56}{65} . $$

よって $\sin(\alpha+\beta)=\dfrac{63}{65}$,$\cos(\alpha-\beta)=\dfrac{56}{65}$ である.

演習5.2 2倍角・半角の公式

解答

$22.5^\circ=\dfrac{45^\circ}{2}$ と見て,公式5.12(半角の公式,正接の2乗)に $\alpha=45^\circ$ を代入する.$\cos45^\circ=\dfrac{\sqrt2}{2}$ だから,

$$ \tan^2 22.5^\circ=\frac{1-\cos45^\circ}{1+\cos45^\circ}=\frac{1-\dfrac{\sqrt2}{2}}{1+\dfrac{\sqrt2}{2}}=\frac{2-\sqrt2}{2+\sqrt2} . $$

分母を有理化するため,分母・分子に $2-\sqrt2$ を掛ける.

$$ \tan^2 22.5^\circ=\frac{(2-\sqrt2)^2}{(2+\sqrt2)(2-\sqrt2)}=\frac{4-4\sqrt2+2}{4-2}=\frac{6-4\sqrt2}{2}=3-2\sqrt2 . $$

ここで $3-2\sqrt2=2-2\sqrt2+1=(\sqrt2-1)^2$ であることに気づく($(\sqrt2-1)^2=2-2\sqrt2+1$).$0^\circ\lt22.5^\circ\lt90^\circ$(第1象限)なので $\tan22.5^\circ>0$,よって正の平方根を取って,

$$ \tan22.5^\circ=\sqrt{(\sqrt2-1)^2}=\sqrt2-1\approx0.4142 . $$

演習5.3 3倍角の公式の導出

解答

$3\theta=2\theta+\theta$ と見て,公式5.1(余弦の加法定理)を使う.

$$ \cos3\theta=\cos(2\theta+\theta)=\cos2\theta\cos\theta-\sin2\theta\sin\theta . $$

目標は $\cos\theta$ だけの式にすることだから,$\cos2\theta=2\cos^2\theta-1$(公式5.8の $\cos\theta$ だけで書ける形)と,$\sin2\theta=2\sin\theta\cos\theta$(公式5.7)を代入する.

$$ \cos3\theta=(2\cos^2\theta-1)\cos\theta-(2\sin\theta\cos\theta)\sin\theta=2\cos^3\theta-\cos\theta-2\sin^2\theta\cos\theta . $$

まだ $\sin^2\theta$ が残っているので,基本公式 $\sin^2\theta=1-\cos^2\theta$ を代入して消す.

$$ \begin{aligned} \cos3\theta&=2\cos^3\theta-\cos\theta-2(1-\cos^2\theta)\cos\theta\\ &=2\cos^3\theta-\cos\theta-2\cos\theta+2\cos^3\theta\\ &=4\cos^3\theta-3\cos\theta=-3\cos\theta+4\cos^3\theta . \end{aligned} $$

1行目から2行目は分配法則で展開し($-2(1-\cos^2\theta)\cos\theta=-2\cos\theta+2\cos^3\theta$),2行目から3行目は $\cos^3\theta$ の項どうし($2\cos^3\theta+2\cos^3\theta=4\cos^3\theta$),$\cos\theta$ の項どうし($-\cos\theta-2\cos\theta=-3\cos\theta$)をそれぞれまとめた.よって

$$ \cos3\theta=-3\cos\theta+4\cos^3\theta $$

が示された(公式5.14と一致する).

演習5.4 和→積の公式

解答

$A=75^\circ,B=15^\circ$ として公式5.21(和→積,余弦の和)に代入する.$\dfrac{A+B}{2}=\dfrac{90^\circ}{2}=45^\circ$,$\dfrac{A-B}{2}=\dfrac{60^\circ}{2}=30^\circ$ だから,

$$ \cos75^\circ+\cos15^\circ=2\cos45^\circ\cos30^\circ=2\cdot\frac{\sqrt2}{2}\cdot\frac{\sqrt3}{2}=\frac{\sqrt6}{2}\approx1.2247 . $$

演習5.5 三角関数の合成

解答

$2\sin\theta-2\cos\theta$ は $a=2,b=-2$ の場合である.$r=\sqrt{a^2+b^2}=\sqrt{4+4}=\sqrt8=2\sqrt2$.

$$ \cos\alpha=\frac{a}{r}=\frac{2}{2\sqrt2}=\frac{\sqrt2}{2},\qquad \sin\alpha=\frac{b}{r}=\frac{-2}{2\sqrt2}=-\frac{\sqrt2}{2} . $$

$\cos\alpha>0,\sin\alpha\lt0$ だから $\alpha$ は第4象限にあり,これを満たす角は $\alpha=-\dfrac{\pi}{4}$.よって公式5.23より,

$$ 2\sin\theta-2\cos\theta=2\sqrt2\,\sin\left(\theta-\frac{\pi}{4}\right) . $$

$-1\le\sin\left(\theta-\dfrac{\pi}{4}\right)\le1$ だから,最大値は $2\sqrt2$,最小値は $-2\sqrt2$ である.

最大値 $2\sqrt2$ は $\theta-\dfrac{\pi}{4}=\dfrac{\pi}{2}$,すなわち $\theta=\dfrac{3\pi}{4}$ のとき.最小値 $-2\sqrt2$ は $\theta-\dfrac{\pi}{4}=-\dfrac{\pi}{2}$,すなわち $\theta=-\dfrac{\pi}{4}$ のとき(どちらも $-\pi\le\theta\lt\pi$ の範囲に収まっている).

演習5.6 積→和の公式

解答

公式5.18(積→和,$\sin\times\sin$)に $\alpha=15^\circ,\beta=75^\circ$ を代入する.

$$ \sin15^\circ\sin75^\circ=-\frac12\{\cos(15^\circ+75^\circ)-\cos(15^\circ-75^\circ)\}=-\frac12\{\cos90^\circ-\cos(-60^\circ)\} . $$

$\cos90^\circ=0$,$\cos(-60^\circ)=\cos60^\circ=\dfrac12$(余弦は偶関数)だから,

$$ \sin15^\circ\sin75^\circ=-\frac12\left(0-\frac12\right)=-\frac12\cdot\left(-\frac12\right)=\frac14 . $$

第6章 対数の性質

演習6.1 底の変換公式で常用対数に直す

解答

公式6.1(本文)で $a=3,\ b=5,\ c=10$ とおくと,$\log_35=\dfrac{\log_{10}5}{\log_{10}3}$ である.与えられた近似値を代入すると,

$$ \log_35 = \frac{\log_{10}5}{\log_{10}3} = \frac{0.6990}{0.4771} = 1.465\cdots $$

よって $\log_35\approx1.465$ である.

演習6.2 公式6.2で逆数の関係を確かめる

解答

$3^2=9$ だから,定義6.1(本文)より $\log_39=2$ である.公式6.2(本文)$\log_ab=\dfrac1{\log_ba}$ で $a=3,\ b=9$ とおくと,

$$ \log_93 = \frac{1}{\log_39} = \frac12 $$

実際 $9^{1/2}=\sqrt9=3$ となるので,これは正しい.

演習6.3 同じ底のべきどうしの対数

解答

(a) $8^x=16$ を満たす $x$ を求める.$8=2^3,\ 16=2^4$ だから,$8^x=2^{3x}=16=2^4$ より $3x=4$,$x=\dfrac43$.よって $\log_816=\dfrac43$.

(b) $8=2^3,\ 16=2^4$ なので,公式6.3(本文)$\log_{a^m}b^n=\dfrac nm\log_ab$ で $a=2,\ m=3,\ b=2,\ n=4$ とおくと,

$$ \log_816 = \log_{2^3}2^4 = \frac43\log_22 = \frac43\times1 = \frac43 $$

($\log_22=1$ を使った).(a)と(b)は一致する.検算として $8^{4/3}=(2^3)^{4/3}=2^4=16$ を確かめてもよい.

演習6.4 公式6.4の直接適用

解答

公式6.4(本文)$a^{\log_ab}=b$ で $a=2,\ b=7$ とおくと,そのまま

$$ 2^{\log_27} = 7 $$

である.$\log_27$ は定義から「$2$を何乗すると$7$になるか」を表す数そのものだから,その数だけ改めて$2$を累乗すれば,当然$7$に戻る.これが答えが妥当である理由である.

演習6.5 公式6.5を具体的な数値で確かめる

解答

まず必要な対数の値を求める.$9=3^2,\ 27=3^3$ だから,公式6.3(本文)より

$$ \log_927 = \log_{3^2}3^3 = \frac32\log_33 = \frac32 $$

また,$\log_93$ は演習6.2で求めたとおり $\log_93=\dfrac12$ である($9=3^2,\ 3=3^1$ に公式6.3を使えば $\log_93=\log_{3^2}3^1=\dfrac12\log_33=\dfrac12$ と直接確かめることもできる).これらを使うと,

$$ a^{\log_cb} = 3^{\log_927} = 3^{3/2} = 3\sqrt3 \approx 5.196, \qquad b^{\log_ca} = 27^{\log_93} = 27^{1/2} = \sqrt{27} = 3\sqrt3 \approx 5.196 $$

両辺はどちらも $3\sqrt3$ で一致し,公式6.5が成り立つことが確かめられた.

演習6.6 公式を組み合わせて恒等式を示す(証明問題)

解答

公式6.2(本文)$\log_ab=\dfrac1{\log_ba}$ を,$a$ と $b$ の役割を入れ替えて使う(公式6.2は $a,b$ について対称な仮定 $a>0,a\neq1,b>0,b\neq1$ のもとで成り立つ式なので,$a\leftrightarrow b$ と入れ替えても同じ形で成り立つ)と,

$$ \log_ba = \frac{1}{\log_ab} $$

を得る.これを $\log_ab\cdot\log_ba$ に代入すると,

$$ \log_ab\cdot\log_ba = \log_ab\cdot\frac{1}{\log_ab} = 1 $$

($\log_ab\neq0$ であることは,$b\neq1$ より保証される.もし $\log_ab=0$ なら $a^0=1=b$ となり $b\neq1$ に矛盾するからである.)よって $\log_ab\cdot\log_ba=1$ が示された.

(証明終わり)

第7章 ベクトル

演習7.1 重心の位置ベクトル

解答

辺$BC$の中点$M$は,線分$BC$を$1:1$に内分する点だから,公式7.1(内分点の位置ベクトル,$m=n=1$)より,

$$ \vec{OM}=\frac{1\cdot\vec{OB}+1\cdot\vec{OC}}{1+1}=\frac{\vec{OB}+\vec{OC}}{2} $$

である.次に,中線$AM$を$2:1$に内分する点が重心$G$だから,公式7.1に$A,M$を代入する($m=2,n=1$).

$$ \vec{OG}=\frac{1\cdot\vec{OA}+2\cdot\vec{OM}}{2+1}=\frac{\vec{OA}+2\vec{OM}}{3} $$

ここに,先ほど求めた$\vec{OM}=\dfrac{\vec{OB}+\vec{OC}}{2}$を代入すると,$2\vec{OM}=\vec{OB}+\vec{OC}$なので,

$$ \vec{OG}=\frac{\vec{OA}+(\vec{OB}+\vec{OC})}{3}=\frac{\vec{OA}+\vec{OB}+\vec{OC}}{3} $$

となり,示すべき式が得られた.この結果は,どの中線を使って重心を求めても同じ式になる($A,B,C$について対称な式である)ことも表しており,3本の中線が実際に1点(重心)で交わることの裏付けにもなっている.

(証明終わり)

演習7.2 一次独立性と係数の一致

解答

$\vec a,\vec b$が一次独立であるとき,定理7.5(平面ベクトルの基本定理)より,$\vec a,\vec b$による1次結合の表し方はただ1通りである.与えられた等式

$$ (2x-1)\vec a+(y+2)\vec b=3\vec a+(-1)\vec b $$

は,同じベクトル(右辺)を$\vec a,\vec b$の1次結合として2通りに表したものと見なせる.分解の一意性から,$\vec a$の係数どうし,$\vec b$の係数どうしがそれぞれ等しくなければならない.

$$ 2x-1=3, \qquad y+2=-1 $$

これらを解くと,$2x-1=3$より$2x=4$,$x=2$.$y+2=-1$より$y=-3$.

よって,$x=2$,$y=-3$.

演習7.3 成分・内分点・外分点

解答

(a) $A(-1,3)$,$B(4,-2)$より,公式7.2の考え方から,

$$ \vec{AB}=(4-(-1),\ -2-3)=(5,-5) $$

大きさは,三平方の定理から,

$$ |\vec{AB}|=\sqrt{5^2+(-5)^2}=\sqrt{25+25}=\sqrt{50}=5\sqrt2 $$

($\sqrt{50}=\sqrt{25\times2}=\sqrt{25}\sqrt2=5\sqrt2$).

(b) 公式7.1で内分($m=3,n=2$)は $\dfrac{2\vec a+3\vec b}{5}$ である.成分で計算すると,

$$ \frac{2(-1,3)+3(4,-2)}{5}=\frac{(-2,6)+(12,-6)}{5}=\frac{(10,0)}{5}=(2,0) $$

よって内分点は$(2,0)$.

(c) 公式7.1で外分($m=3,n=2$)は $\dfrac{-2\vec a+3\vec b}{3-2}=-2\vec a+3\vec b$ である.

$$ -2(-1,3)+3(4,-2)=(2,-6)+(12,-6)=(14,-12) $$

よって外分点は$(14,-12)$.

演習7.4 内積と垂直条件

解答

定理7.6(垂直と内積)より,$\vec a\perp\vec b\iff\vec a\cdot\vec b=0$である.公式7.3(Ⅰ)を使って$\vec a\cdot\vec b$を成分で計算すると,

$$ \vec a\cdot\vec b=2\times3+k\times(-4)=6-4k $$

これが$0$になる条件は,

$$ 6-4k=0 \quad\Longrightarrow\quad k=\frac64=\frac32 $$

このとき,$\vec a=\left(2,\dfrac32\right)$だから,定理7.7(Ⅳ)($|\vec a|^2=\vec a\cdot\vec a$)より,

$$ |\vec a|=\sqrt{2^2+\left(\frac32\right)^2}=\sqrt{4+\frac94}=\sqrt{\frac{16}4+\frac94}=\sqrt{\frac{25}4}=\frac52 $$

($4=\frac{16}{4}$と通分してから足し合わせた).よって,$k=\dfrac32$,$|\vec a|=\dfrac52$.

演習7.5 法線ベクトルから直線の方程式

解答

方向ベクトルは $\vec{AB}=(4-1,\ 6-2)=(3,4)$ である.$(p,q)$に垂直なベクトルの1つは$(q,-p)$である(実際,$(p,q)\cdot(q,-p)=pq-qp=0$)から,$\vec{AB}=(3,4)$に垂直な法線ベクトルとして$\vec n=(4,-3)$がとれる.

公式7.5に,点$A(1,2)$と$\vec n=(4,-3)$を代入すると,

$$ 4(x-1)-3(y-2)=0 $$

括弧を展開して整理する($4(x-1)=4x-4$,$-3(y-2)=-3y+6$,定数項は$-4+6=2$)と,

$$ 4x-4-3y+6=0 \quad\Longrightarrow\quad 4x-3y+2=0 $$

検算として,点$B(4,6)$を左辺に代入すると,$4\times4-3\times6+2=16-18+2=0$となり,確かに$B$もこの直線上にある.よって,求める直線の方程式は $4x-3y+2=0$.

演習7.6 空間の直線・平面・球面

解答

直線 公式7.7に,点$A(2,-3,1)$と方向ベクトル$\vec d=(1,2,-2)$を代入すると,

$$ \frac{x-2}{1}=\frac{y-(-3)}{2}=\frac{z-1}{-2}, \qquad\text{すなわち}\qquad \frac{x-2}{1}=\frac{y+3}{2}=\frac{z-1}{-2} $$

平面 同じ点$A(2,-3,1)$を通り,法線ベクトルが$\vec d=(1,2,-2)$である平面は,公式7.6より,

$$ 1\cdot(x-2)+2\cdot(y-(-3))+(-2)\cdot(z-1)=0 $$

括弧を展開して整理する($x-2$,$2(y+3)=2y+6$,$-2(z-1)=-2z+2$,定数項は$-2+6+2=6$)と,

$$ x-2+2y+6-2z+2=0 \quad\Longrightarrow\quad x+2y-2z+6=0 $$

球面 公式7.8に中心$(0,1,-2)$,半径$r=3$を代入すると,

$$ (x-0)^2+(y-1)^2+(z-(-2))^2=3^2, \qquad\text{すなわち}\qquad x^2+(y-1)^2+(z+2)^2=9 $$

第8章 2次曲線 — 放物線・楕円・双曲線

演習8.1 放物線の方程式を求める

解答

焦点が$(0,3)$,すなわち$y$軸上にあるので,本文8.1.2節の$x^2=4py$の形になる.焦点$(0,p)=(0,3)$より$p=3$.よって放物線の方程式は

$$ x^2=4\times3\times y=12y $$

である.準線は$y=-p=-3$である.

演習8.2 楕円の基本量を求める

解答

標準形$\dfrac{x^2}{a^2}+\dfrac{y^2}{b^2}=1$と見比べると,$a^2=16,b^2=7$である.$16\gt7$なので長軸は$x$軸方向にあり,$a=\sqrt{16}=4$,$b=\sqrt7$.焦点は公式$c=\sqrt{a^2-b^2}$より

$$ c=\sqrt{a^2-b^2}=\sqrt{16-7}=\sqrt9=3 $$

なので$(\pm3,0)$である.長軸の長さは$2a=8$,短軸の長さは$2b=2\sqrt7$である.

演習8.3 双曲線の定義から距離の差を求める

解答

標準形$\dfrac{x^2}{a^2}-\dfrac{y^2}{b^2}=1$と見比べると$a^2=9$,すなわち$a=3$である.定義8.3(および導出の出発点$PF-PF'=\pm2a$)より,双曲線上の任意の点$P$について距離の差の絶対値はつねに$2a$に等しいから,

$$ |PF-PF'|=2a=2\times3=6 $$

である.例題8.4の楕円のときと同様,$P$の座標を具体的に求めなくても定義だけから答えが出る.

演習8.4 楕円の標準形の導出を自分の手で再現する

解答

定義より$\sqrt{(x+c)^2+y^2}+\sqrt{(x-c)^2+y^2}=2a$である.一方の根号を移項して

$$ \sqrt{(x+c)^2+y^2}=2a-\sqrt{(x-c)^2+y^2} $$

とし,両辺を2乗する(両辺とも0以上なので同値変形である).右辺は$(A-B)^2=A^2-2AB+B^2$の形に展開して,

$$ (x+c)^2+y^2=4a^2-4a\sqrt{(x-c)^2+y^2}+(x-c)^2+y^2 $$

両辺の$y^2$を消し,$(x+c)^2-(x-c)^2=4cx$(展開すればわかる)を使って整理すると,

$$ 4cx=4a^2-4a\sqrt{(x-c)^2+y^2} $$

両辺を$4$で割り,根号の項だけ左辺に残すと

$$ a\sqrt{(x-c)^2+y^2}=a^2-cx $$

もう一度両辺を2乗すると

$$ a^2\{(x-c)^2+y^2\}=a^4-2a^2cx+c^2x^2 $$

左辺を展開すると$a^2x^2-2a^2cx+a^2c^2+a^2y^2$である.両辺に共通する$-2a^2cx$を消して整理すると

$$ (a^2-c^2)x^2+a^2y^2=a^2(a^2-c^2) $$

$a\gt c\gt0$より$a^2-c^2\gt0$なので$b=\sqrt{a^2-c^2}$($b^2=a^2-c^2$)とおける.これを代入すると$b^2x^2+a^2y^2=a^2b^2$となり,両辺を$a^2b^2$($\neq0$)で割ると

$$ \frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{b^2}=1 $$

が得られる.本文8.2.2節とまったく同じ結果である.

(証明終わり)

演習8.5 符号の違いの由来を説明する

解答

符号の違いは,導出の最初の段階,$(x\pm c)^2$どうしの差を計算する箇所に由来する.楕円では焦点までの距離の和$\sqrt{(x+c)^2+y^2}+\sqrt{(x-c)^2+y^2}=2a$から出発し,途中で$(x+c)^2-(x-c)^2=+4cx$というプラスの関係を使う.一方,双曲線では距離の差$\sqrt{(x-c)^2+y^2}-\sqrt{(x+c)^2+y^2}=\pm2a$から出発するため,途中の式変形で$(x-c)^2-(x+c)^2=-4cx$というマイナスの関係が現れる.

この符号の反転が,最終的な方程式の$x^2$の係数の符号に伝わる.楕円では$(a^2-c^2)x^2+a^2y^2=a^2(a^2-c^2)$($a\gt c$なので$a^2-c^2\gt0$,$x^2,y^2$とも同符号),双曲線では$(c^2-a^2)x^2-a^2y^2=a^2(c^2-a^2)$($c\gt a$なので$c^2-a^2\gt0$だが,$y^2$の係数は$-a^2$のまま)となる.$b^2$を代入したあとの標準形が$\dfrac{x^2}{a^2}+\dfrac{y^2}{b^2}=1$と$\dfrac{x^2}{a^2}-\dfrac{y^2}{b^2}=1$という符号違いになって現れるのは,このためである.根本の原因は,「距離の和」か「距離の差」かという定義そのものの違いにある.

演習8.6 放物線と直線の交点

解答

$y=x$を$y^2=4px$に代入すると

$$ x^2=4px \quad\Longrightarrow\quad x^2-4px=0 \quad\Longrightarrow\quad x(x-4p)=0 $$

(左辺を$x$でくくった).よって$x=0$または$x=4p$である.$y=x$なので,交点は

$$ (0,0),\quad(4p,4p) $$

の2点である($p\neq0$なので,この2点は相異なる).