バリウムフェライト ― 共沈した前駆体から磁性材料へ

塩化鉄と塩化バリウムの水溶液を,水酸化ナトリウムと炭酸ナトリウムの水溶液に注ぐと,赤褐色の沈殿ができます. この沈殿は BaFe12O19 ではなく,Fe の含水酸化物(Fe(OH)3 と書かれることが多い)と BaCO3 がまざった前駆体です. ①で溶液をつくり,②で沈殿させ,③で洗ってろ過・乾燥し,④で仮焼して,はじめて目的の磁性材料になります.⑤で成形・焼結・着磁して,磁石としての強さ(見かけの残留磁化)を天秤で測ります. どの工程も前の工程の試料をそのまま引き継ぐので,条件を変えると後の結果がどう変わるかを追えます.

東京理科大学 望月研究室 / 手順と条件(試薬の質量と水量,注ぐ向き,約 60 ℃ の温水での傾瀉洗浄,ろ紙 5B,105 ℃ 約 20 h の乾燥,925 ℃・2 h の仮焼,成形・焼結・着磁の条件)は旧東京工業大学 材料科学実験(無機材料分野)実験テキスト 2025 年版(§8.1–8.5)・実習の動画(A1〜A3,B1〜B4)に合わせました.熱処理の雰囲気(大気中)と天秤の寸法(基準磁石の厚さ 14.020 mm,試料台までの距離 37.349 mm)は先生の指示(2026-09-25)です.静置時間,注ぐ速さ,焼結体の密度などは仮の値です. 水溶液の平衡は電荷収支と溶解度積による計算,洗浄・ろ過・乾燥・仮焼・焼結の速度と磁性は教育用に選んだ推定値による模式モデルで,実測の予測ではありません. 詳しい説明と出典は解説ページにあります. 戻る:望月研究室 Education ― 無機材料学 > 仮想実験・無機材料学の教材一覧