セッコウ・セメントの水和 ― 溶解・析出・つながりと気孔

戻る:望月研究室 Education ― 無機材料学 > 仮想実験・無機材料学の教材一覧

このページは hydration-simulator.html の対になる解説です. 焼石膏(半水セッコウ)やセメントに水を加えると固まるのは,水が蒸発するからではなく,粉が水に溶け,水を取り込んだ別の固体(水和物)が析出してつながるからです. その仕組みを,反応式と質量・体積の収支,溶解度と過飽和,核生成・成長,発熱曲線,Powers の体積のモデルの順に説明します. シミュレーターの画面の読み方と,計算に使った式・値(文献値・経験式・仮の値の区別)は 付録 A に,先生に確認したい事項は 確認事項 にまとめました.

このページの背骨 ①なぜ固まるのか:溶けた成分が,水を結晶水や構造水として取り込んだ固体になって析出し,それがつながる(水和). ②どこに,どんな形で析出するのか:セッコウは過飽和の液の中で針状の二水が生まれて絡み合い,セメントは粒子の表面から C–S–H などが育って粒子どうしを結ぶ. ③余った水はどうなるのか:反応に使われない水は気孔として残るので,水を増やすほど気孔が増える(§5,§9).

1. はじめに ― 「水を加えると固まる」とは

焼石膏(しょうせっこう)もセメントも,水と混ぜると数十分〜数時間で流動性を失い(凝結),その後も強くなり続けます(硬化). このとき粉は水に溶け,溶けた成分が水を取り込んだ別の固体として析出します. セッコウでは水の分子が結晶の中に入った二水セッコウ(結晶水),セメントでは水が構造に入った C–S–H や水酸化カルシウムなどです. 固まった後に乾かしても,この水は抜けません.乾燥で抜けるのは,反応に使われなかった水だけです.

もう一つ大事なのは,溶けてから析出する(溶解–析出)という経路です. 粉の粒がそのまま膨らんでくっつくのではなく,いったん液を通ってから,別の場所に別の形で析出します. この考え方は Le Chatelier(1887)にさかのぼり,現在は放射光の回折や X 線 CT でその場観察されています(参考文献 6〜10). 加熱して粉の粒どうしを原子の拡散でつなぐ焼結(焼結のシミュレーター)とは,物質の運ばれ方がまったく違います.

2. セッコウの反応と収支

2.1 反応式と化学量論

(1) CaSO4·12H2O +32H2O →CaSO4·2H2O

半水セッコウ(焼石膏)のモル質量は 145.15 g/mol,二水セッコウは 172.17 g/mol,水は 18.015 g/mol です. 半水 1 g を完全に二水にするのに要る水(理論水量)は

(2) (w/p)理論= 1.5×18.015145.15=0.186

です.実際の練り混ぜでは,流し込めるように w/p = 0.6 前後の水を使うことが多く(β 型の例.要確認),理論水量との差はすべて「余った水」になります(§5). シミュレーターは質量を厳密に保存するように,M(半水) = M(CaSO₄) + ½M(H₂O),M(二水) = M(CaSO₄) + 2M(H₂O) としています(M(CaSO₄) = 136.14 g/mol).

表 1 粉 100 g + 水 60 g(w/p = 0.60)の質量の収支完全に反応した場合の計算値.シミュレーター①の読み取り値と同じ計算
状態半水二水自由な水合計
混ぜた直後100.0 g0 g60.0 g160.0 g
反応が終わった後(乾かす前)0 g118.6 g41.4 g160.0 g
乾かした後0 g118.6 g0 g118.6 g

乾かした塊は,元の粉 100 g より 18.6 g 重くなります.これが結晶水として取り込まれた水で,「水が蒸発して固まる」のではない直接の証拠です.

2.2 発熱と体積

半水から二水への水和は発熱反応で,CEMHYD3D(NIST のセメント水和モデル)のコードでは β 型の半水 1 g あたり 132 J としています(参考文献 4). 生成熱から計算すると ΔH ≈ −19.2 kJ/mol で,この値と一致します.α 型に相当する熱力学データベースの値からは −17.0 kJ/mol(118 J/g)になります(参考文献 3). 実際に断熱ではない容器で測ると,20 ℃ から β 型で約 30 ℃ まで温度が上がります(参考文献 6).シミュレーターは恒温槽で温度を一定に保つと仮定しています.

体積は,半水 52.97 cm³/mol(密度 2.74 g/cm³)+ 水 27.0 cm³ → 二水 74.21 cm³/mol(密度 2.32 g/cm³)で,反応物より 5.8 cm³/mol(7.2 %.水の密度を 1 g/cm³ とした値)小さくなります(化学収縮). 一方,固体だけで見ると体積は 1.40 倍に増え,これが粒と粒のすき間を埋めていきます.

3. 溶解度と過飽和 ― 焼石膏だから固まる

半水セッコウは二水セッコウより水に溶けやすい物質です.25 ℃ で二水の溶解度は 15.1 mmol/kg(PHREEQC の例題 2),半水は約 58 mmol/kg で,比はおよそ 3.9 です(表 2). 半水が溶けると,液はすぐに二水に対して約 4 倍の過飽和になります.過飽和の液から二水が析出すると液は薄くなり,半水がさらに溶けて補います. この「半水が溶ける ⇄ 二水が析出する」のくり返しが,溶解–析出の正体です.

表 2 CaSO₄ の各相の溶解度(mol/kg 水)Azimi ほか 2007 の図を読み取った値(読み取り誤差 ±0.003 程度).25 ℃ の二水は PHREEQC 例題 2 の 15.1 mmol/kg
温度二水(石膏)半水比 Smax = c半水/c二水
0 ℃0.01250.0786.2
25 ℃0.01500.0583.9
50 ℃0.01550.0362.3
75 ℃0.01450.0221.5
100 ℃0.01350.0141.0

図 1 半水と二水の溶解度と,過飽和の上限 Smax(表 2 の値を直線でつないだもの.シミュレーターもこの補間を使う)

駆動力をギブズエネルギーで表すと,熱力学データベース llnl.dat の平衡定数(log K:半水 −3.66,二水 −4.48)の差から,25 ℃ で

(3) ΔG=−RTln⁡100.82≈−4.7 kJ/mol

です(参考文献 3).温度を上げると半水の溶解度だけが大きく下がるので,Smax は小さくなり,約 99 ℃ で 1 になります(これより高温では逆に二水が半水になる). このため温めるほど速く固まるとは限りません.反応の速さの係数は温度とともに大きくなりますが,駆動力(過飽和)は小さくなるからです. 歯科用・建築用のセッコウでは,練り水の温度を上げると 40 ℃ 前後までは凝結が速くなり,それより高いと遅くなる,という説明がよく見られます(本調査では一次資料を未確認).

焼いていない二水の粉に水を加えると 二水セッコウの粉は,水に溶けても液は二水の溶解度までしか濃くなりません(S = 1).過飽和にならないので新しい結晶は生まれず,粒どうしはつながりません. 焼石膏は,二水を加熱して水の一部を追い出し,二水より溶けやすい半水にしたものだから固まるのです.シミュレーター①の比較条件 G で確かめられます.

4. 核生成・成長と凝結

4.1 核生成

過飽和の液から結晶が生まれるには,小さな結晶の表面エネルギーの損を上回るだけの過飽和が要ります. 古典的核生成理論では,核生成頻度 J は

(4) J=J0exp⁡(−B(ln⁡S)2) ,S=cc二水

の形になります(B は表面エネルギーの 3 乗に比例する定数).S が小さいと J は急に小さくなるので,高温や二水の粉では核がほとんどできません. シミュレーターはこの形を使い,J0 と B は教育用の仮の値です.核は半水の粒の表面の量(周長の合計)に比例して生まれるとしました(不均一核生成の模式). なお La Bella ら(2023)は,半水の表面に二水が直接エピタキシャルに生まれる寄与は小さいと報告しています(参考文献 7). そこでシミュレーターでは,核を粒の表面に直接付けるのではなく,粒のまわりの濃い液の中に置きます.粒はもとの周長の重みで 1 つ選び(溶けきった粒は選ばず次の粒へ),粒の中心から rL − 0.3δ〜rL + δ の所に置きます(rL は w/p = 0.40 のときの粒の半径,δ = 14 px は粒のまわりの濃い液の幅.模式). w/p によらず同じ位置になるので,w/p を変えたときの凝結の時刻を比べやすくなります(w/p が大きいと粒が小さいので,この帯はもとの輪郭 r0 より外にずれる.ずれは w/p = 1.0 で最大 5 px ほどで,大きい粒では帯の下端ももとの輪郭より外になる). 粒の溶けた跡の中にできる核の割合は,時刻によって違います(中心がどれかの粒のもとの輪郭の内側にある核を数える.20 ℃).凝結の瞬間では,どの w/p でも 1 割ほどかそれ以下(4〜11 %)で,w/p による傾向はありません.120 分では w/p = 0.4 で約 2 割,0.7 以上で 1 割未満で,後半は w/p が大きいほど少なめになります. 中心がいまの粒の内側に入るときは,いまの縁から外(〜rL + δ)に置き直し,隣の粒の内側に入るときはその粒の縁の外へ出します.こうして核は,粒の溶けた跡の中か外の濃い液の中,つまり液の中にできます. 粒を選ぶ数と向きは乱数ではなく黄金比の刻みの数列にして,核を粒のあいだと向きに偏りなく配ります(乱数の種による凝結の時刻のばらつきを小さくするため.§4.3). 粒はもとの周長の重みで選ぶので,核生成の頻度の式(いまの周長に比例)とは,粒が小さくなる後半で少しずれます(凝結のころまでの差は小さい).溶けきった粒は選ばないので,粒が溶けてなくなればそのそばには核ができなくなります. ただし粒は密に並んでいて,粒の外の液のほとんどが粒から δ 以内にあり,針は δ の何倍も長く伸びるので,針の位置の偏りは図ではほとんど見えません.

4.2 成長と反応率

生まれた二水は針状に伸び,やがて太くなります(参考文献 7,8).シミュレーターでは代表の針 1 本ごとに,長さ ℓ と太さ w を

(5) dℓdt=gLk(T)(S−1)1+ℓ/ℓc, dwdt=gWk(T)(S−1)

で伸ばし,二水の体積分率を図の針の面積の割合 Σℓw/A で表します(2 次元の図の面積の割合を体積分率とみなす). 半水の溶ける速さは d n半水/dt ∝ −(粒の周長)·(c半水 − c) で,液の濃度 c は溶けた量と析出した量の差から決まります. k(T) = exp[−(E/R)(1/T − 1/293.15 K)] の E = 30 kJ/mol も仮の値です. こうして得られる反応率 α(半水のうち二水になった割合)の曲線は S 字形になり,Avrami 型 α = 1 − exp[−k(t − t0)n] でよく表されることが知られています(β 型で n ≈ 3,参考文献 6).

係数は,Gurgul ら(2019)の β 型(w/p = 0.8,約 20 ℃)で「50 % に約 25〜30 分,90 % 超に約 60〜70 分」(要約からの読み取りで要確認), Darmawan ら(2020)の建築用石膏(w/p = 0.5)の凝結 始発 10.4 分・終結 16.0 分に近くなるように選びました. シミュレーターの代表条件(w/p = 0.8,20 ℃)では 50 % に 27 分,90 % に 52.5 分,w/p = 0.5 の凝結は 14.6 分です(付録 A.5).誘導期(α が 1 % になるまで)は約 3 分で,Gurgul らの 9 分より短めです.

4.3 凝結=針の網目のつながり

針が互いに交わって,試料の端から端までつながった網目ができると,ペーストは形を保つようになります. Morgado ら(2019)は,針のパーコレーション(つながり)した塊に属する割合が凝結の始まりのよい指標で,せん断弾性率の立ち上がりと一致すると報告しています(参考文献 10). シミュレーターは,線分としての針が交わる(または太さの半分どうしが触れる)ものを同じ塊とし,窓の左右の端をつなぐ塊ができた時刻を「凝結」としています. 2 次元にばらまいた長さ ℓ の線分が無限につながるのは,本数密度が Nℓ²/A ≈ 5.64 を超えたときであることが知られています(参考文献 23). ここから,同じ二水の量でも細長い針ほど早くつながることが分かります.w/p を大きくすると窓の中の二水の量が減るので,つながるまでに多くの反応が要り,凝結が遅れます. 針は粒のまわりにできるので(§4.1),つながり方は粒の配置にもよります.シミュレーターでは粒の配置を w/p によらず同じ乱数列で置き(w/p = 0.40 の粉の量のときに置き,w/p に合わせて半径だけ縮める),w/p を変えたときに粒の間隔だけが変わるようにしています. 核を粒の近くに置くと,凝結の時刻が粒と核の配置(乱数の種)に左右されます.種を 80 通り変えると,w/p = 0.60,20 ℃ の凝結は 12.4〜22.4 分に散らばります(中央値 15.6 分,8 割が 13.2〜19.4 分).w/p = 0.40〜1.00(0.1 刻み)の順に遅くなる性質は 80 通り中 73 通りで保たれ,崩れる種でも逆転は 1.2 分以下です. 既定の種は,この中央値に近い列を選んだもので,w/p = 0.60 の凝結は 15.4 分です(前の版の 15.6 分に合わせたのではなく,種を選んで中央値の近くにした値). 反応率の進みは核の位置によりませんが,粒の配置(大きさの分布と周長)を w/p によらない列に変えたので,α = 0.9 の時刻は前の版から最大 1.5 分ずれました(表 A1).

5. 余った水と気孔

見かけの体積が練り混ぜたときと変わらないと仮定すると,完全に反応して乾かした後の気孔率は

(6) φ=1−V二水/M半水1/ρ半水+w/p =1−0.5110.365+w/p

です(単位は cm³/g.V二水 = 74.21 cm³/mol,ρ半水 = 2.74 g/cm³).w/p = 0.186 で 7 %,0.4 で 33 %,0.6 で 47 %,1.0 で 63 % です. 実際のセッコウは凝結のときにわずかに膨張すること(結晶の成長圧)が知られていますが,その量は本調査で確認できていないので,式 (6) は「見かけの体積一定」の近似です. 強度は気孔率が高いほど低くなりますが,係数を資料で確認できていないので,シミュレーター①では強度を表示せず,気孔率と網目の割合だけを示しています.

6. ポルトランドセメントの組成

ポルトランドセメントは,石灰石と粘土などを約 1450 ℃ で焼いたクリンカーに,セッコウを数 % 加えて粉砕したものです. セメント化学の略号で C = CaO,S = SiO₂,A = Al₂O₃,F = Fe₂O₃,S̄ = SO₃,H = H₂O と書き,主な 4 つの鉱物は C₃S(エーライト),C₂S(ビーライト),C₃A(アルミネート),C₄AF(フェライト)です. 講義 第 01 回 スライド 14 の要点を言い換えると,エーライト C₃S は早い時期から長い期間にわたって強さを出し,ビーライト C₂S はゆっくり反応して長い年月の後の強さに効き,アルミネート C₃A は水和熱が大きい鉱物です(フェライト C₄AF の役割はスライドに書かれていない). 低熱セメントが C₂S を多く C₃A を少なくしてあるのは,この性質を使って発熱を抑えるためです. シミュレーターの既定値は,講義 第 01 回 スライド 14 の鉱物組成です(表 3). 先生の学士論文の元データ(参考文献 26)と照らし合わせると,中庸熱・低熱の値は Taylor の式(SO₃ 補正なし)で計算した値,普通は Bogue の式(SO₃ の補正を含む,学士論文の表と同じ式)の値に当たります.Bogue の式にそろえると,中庸熱は 47.8/30.5/2.3/13.0,低熱は 34.8/48.0/1.5/9.2(C₃S/C₂S/C₃A/C₄AF,%)になります.シミュレーターはスライドの値のまま使っています.

表 3 鉱物組成(mass%)普通・中庸熱・低熱は講義 第 01 回 スライド 14(普通は Bogue の式,中庸熱・低熱は Taylor の式の値に当たる).CEM I 42.5R は Jagličić ら 2025 の XRD 定量(参考文献 12)
セメントC₃SC₂SC₃AC₄AF
普通(OPC)59.915.88.29.6
中庸熱(MPC)53.326.42.313.0
低熱(LHC)40.943.41.59.2
CEM I 42.5R51.819.57.57.5

4 鉱物の合計は普通・中庸熱・低熱で 93.5〜95 %,CEM I 42.5R で 86.3 % で,残りはセッコウ(硫酸塩)や方解石などです.セッコウの量はスライドにないので,製品例の SO₃ 2.10 %(参考文献 16)を二水セッコウに換算した 4.5 % を仮の値として,中庸熱・低熱・CEM I 42.5R に使っています. 普通だけは 4.9 %(SO₃ 2.3 %)としました.モデルでは練り混ぜ直後の C₃A の反応でセッコウが多く使われるので(§8.1),普通に 4.5 % を使うと,セッコウが C₃S の主ピークより前(11.0 h)に尽きてしまいます. 実際のセメントは,硫酸塩が尽きるのが主ピークの後になるようにセッコウの量が調整されているので(§8,参考文献 12),普通の C₃A に対するセッコウの比を,実測でそうなっている CEM I 42.5R とほぼ同じにしました(仮). なお CEM I 42.5R の硫酸塩は無水石膏 3.5 %・半水 1.2 %(参考文献 12)で,SO₄ の量は 0.034 mol/100 g と,4.5 % の二水(0.026 mol/100 g)より約 3 割多くなります. 実際には硫酸塩の一部は C₄AF の水和や C–S–H への吸着にも使われますが,モデルでは C₃A だけが使うとしたので,4.5 % と 4.9 % は「C₃A に使われる実効的な量」という意味の仮の値です(§8.1,確認事項 6).

7. セメントの水和反応と生成物

ポルトランドセメントは,1824 年にイギリス・リーズの煉瓦積み職人 J. Aspdin が特許を得たのが始まりとされ(講義 第 01 回 スライド 14),水と反応して固まる仕組みは次の水和反応です.

表 4 主な水和反応と水和熱CEMHYD3D のモル体積と生成熱による計算(参考文献 4).C–S–H の組成は C₁.₇SH₄ とした
反応水和熱(J/g 鉱物)生成物の体積/固体の反応物
C₃S + 5.3H → C₁.₇SH₄ + 1.3CH517(相ごとの値)2.12
C₂S + 4.3H → C₁.₇SH₄ + 0.3CH262(相ごとの値)2.25
C₃A + 3CS̄H₂ + 26H → C₆AS̄₃H₃₂(エトリンガイト,AFt)16722.36
2C₃A + C₆AS̄₃H₃₂ + 4H → 3C₄AS̄H₁₂(モノサルフェート,AFm)1762(C₃A あたり)1.03
C₄AF の水和(AFt ができる場合)725―

C₃S と C₂S は,生成熱から計算すると 535,222 J/g で,CEMHYD3D が発熱の計算に使う相ごとの値 517,262 J/g と少し違います(C–S–H の組成の置き方の違い).シミュレーターは相ごとの値を使います. 生成物は形が違うので,内部図では描き分けています.

すべてを同じ針で描かないのは,固まり方の違い(§10)が生成物の形と場所の違いから来るからです.ただし形と配置は模式です. シミュレーター②の内部図の既定は,講義 第 01 回 スライド 15 の「流動 → 凝結 → 硬化」の図と同じ見え方です.未水和の粒子は灰色の多角形,水は水色,C–S–H・CH・AFm・C₄AF の水和物はまとめて黄土色の層(黒い繊維の模様)で,AFt は濃紺の短い棒で描きます.「相ごとに色分け」を選ぶと,上の 4 種を形と色で描き分けた図になります(付録 A.3).

8. 発熱曲線と水和の段階

等温熱量計で測ったセメントの発熱速度は,次の段階に分けられます. 練り混ぜ直後の鋭い山(表面の溶解と AFt の生成.数分で最大になり 1 時間ほどで小さくなる)→ 発熱の小さい誘導期(数時間,まだ流動性がある)→ C₃S の水和で C–S–H と CH が析出する加速期 → 主ピーク → 生成物の層が厚くなって遅くなる減速期. 主ピークのすぐ後には,セッコウ(硫酸塩)を使い切って C₃A の反応が再び速くなる山(肩)が重なります.セメントの製造者は,この硫酸塩が尽きる時刻が C₃S の主ピークより後になるようにセッコウの量を調整しています(参考文献 12). Jagličić ら(2025)の CEM I 42.5R(w/c = 0.5,20 ℃)では,誘導期の終わり tis = 3.7 h,加速の最大 tm = 7.0 h(1.3 mW/g,傾き 0.27 mW/(g·h)),主ピーク tmax = 12.6 h で 2.2 mW/g,累積の発熱は 6.2 h で 41.4 J/g,7.0 h で 45.1 J/g,12.6 h で 81.8 J/g でした(参考文献 12 の表 1.試料は練り混ぜの 5 分後に熱量計へ入れて測定).

8.1 シミュレーターの速度式(教育用)

C₃S・C₂S・C₄AF の水和度 αi を,初期の速い反応・核生成と成長(Avrami 形)・遅い拡散の段階(3 パラメーター指数形)の和で表します.

(7) αi(θ)= a0(1−e−θ/τ0) +A[1−e−(k(θ−ti))n] +Be−(τD/(θ−ti))βD

第 2・3 項は θ > ti でだけ加えます. C₃A は,セッコウが残っている間は表面にできた AFt の層で反応が遅く抑えられ,セッコウを使い切ると反応が再び速くなります(§8 の「肩」).この順序(セッコウが尽きる → C₃A が速くなる)をモデルの中でも守るため,C₃A だけ次の形にしました.

(7a) αC₃A(θ)= a0(1−e−θ/τ0) +Bs(1−e−θ/τs) +Bxe−τx/min(θ,θsd) +A[1−e−(k(θ−θsd))n] +Be−(τD/(θ−θsd))βD
(7b) a0(1−e−θsd/τ0) +Bs(1−e−θsd/τs) +Bxe−τx/θsd =nセッコウ3nC₃A

第 4・5 項は θ > θsd でだけ加えます. 第 3 項は,セッコウが残っている間も AFt の層を通して C₃A がゆっくり反応する遅い項で,Bx = 1 − a0 − Bs = 0.494,τx = 300 h(仮)とし,セッコウを使い切った後はその時点の値のまま加えます. θ = 15 h での大きさは 10⁻⁸ 以下なので,セッコウが 15 h ごろに尽きる普通と CEM I の結果にはほとんど効きません.θsd はセッコウを使い切る反応の時計で,AFt の生成(C₃A + 3CS̄H₂ → AFt,表 4)に使ったセッコウが全量に達する時刻として式 (7b) から組成ごとに計算します(n はセメント 1 g あたりの mol). 右辺が a0 + Bs + Bx = 1 以上なら,セッコウは尽きず,θsd = ∞ です.このときも C₃A は第 3 項で AFt をつくりながらゆっくり反応し,時間とともに 1 に近づきます(中庸熱・低熱の C₃A の α は 7 日 0.58,28 日 0.81). 普通(右辺 0.313)では 14.8 h,CEM I 42.5R(0.314)では 15.0 h と,どちらも主ピーク(12.6 h)の後にセッコウが尽き,中庸熱(1.02)と低熱(1.57)では C₃A が少ないので 28 日でも残ります(28 日で使われたのは 79 %,52 %). C₃A の量に対してセッコウが少ないほど早く尽きる,というセッコウの「凝結調整剤」としての役割を,この式で表しています. 硫酸塩は実際には C₄AF の水和や C–S–H への吸着にも使われますが,モデルでは数えていません(§6).

係数は,C₃S・C₂S・C₄AF で a0 + A + B = 1,C₃A で a0 + Bs + A + B = 1(セッコウが残る間は a0 + Bs + Bx = 1)とし,水が尽きなければ時間とともにどの相も αi → 1 に近づくようにしました(セッコウが残っていても C₃A は第 3 項で 1 に向かう.止まるのは §8.2 の水の制約による).Avrami の式(参考文献 20)は核生成と成長,3 パラメーター指数形 exp[−(τ/t)β] はコンクリートの水和度によく使われる経験式です(参考文献 21.原典は未確認). 「核生成・成長のあとに拡散で遅くなる」という段階の考え方は Parrot と Killoh(1984)のモデルに倣いました(原典未確認). 係数(表 A3)は,Jagličić らの CEM I 42.5R の値(tis,tm とその発熱速度・傾き,6.2 h の発熱速度,主ピークの時刻と高さ,5 分後から積算した 6.2・7.0・12.6 h の累積発熱,セッコウが尽きる時刻が主ピークの後(約 15 h)で C₃A の山が約 17 h(同論文の図 1 の tsd の位置の読み取り))と,製品例の水和熱 7 日 332 J/g・28 日 384 J/g(参考文献 16), Gutteridge と Dalziel(1990)が定量 XRD で測った相ごとの水和度(w/s = 0.71.7 日で C₃S 0.73,C₂S 0.19,C₃A 0.76,C₄AF 0.27,28 日で 0.82,0.44,0.83,0.40.NISTIR 7232 の図 2 の読み取り,参考文献 4,24)に合うように,この教材で最小二乗で選んだ仮の値です. 結果は CEM I で tis 3.6 h,tm 7.0 h,主ピーク 12.6 h・2.2 mW/g,累積の発熱 40.6,44.0,82.0 J/g(6.2,7.0,12.6 h),セッコウが尽きるのは 15.0 h,C₃A の反応速度の山は 17.0 h です. 普通セメント(表 3,セッコウ 4.9 %)・w/c = 0.5・20 ℃ では,主ピークは 12.6 h・2.55 mW/g で,セッコウはその後の 14.8 h に尽き,C₃A の山は 16.8 h です.累積の発熱は 7 日 330 J/g,28 日 402 J/g,相ごとの水和度は 7 日で 0.65,0.20,0.74,0.28,28 日で 0.81,0.41,0.81,0.36(C₃S,C₂S,C₃A,C₄AF)で,C₂S は 7 日から 28 日も増え続けます. 実測の累積発熱に合わせるため,練り混ぜ直後の C₃A の反応(a0 = 0.19,時定数 0.37 h)を大きめにしました.実測の最初の 1 時間には,試料を入れたときの温度の乱れも含まれる可能性があり,この部分の係数はとくに不確かです(仮). この a0 は,セッコウが減っていく速さも決めます(普通では 30 分で 47 %,1 時間で 60 %,6 時間で 79 % が AFt に使われ,14.8 h で尽きる).②の読み取り値の「セッコウの残り」はこの計算によるもので,仮の値です. モデルの限界.練り混ぜ直後に多くのセッコウを使い,C₃A だけがセッコウを使うこの式は,製品の組成にはそのまま移せません. たとえば製品例の組成(C₃A 9 %,SO₃ 2.10 %.参考文献 16)を入れるとセッコウは約 8 h で尽き,CEM I 42.5R の実際の硫酸塩(0.034 mol/100 g)を入れると約 35 h になります(実測は約 15 h). モデルのセッコウの量(普通 4.9 %,ほか 4.5 %)は,C₃A の反応だけで尽きる時刻を合わせるための実効的な値です(§6,確認事項 6).

発熱は Q = ΣfiHiαi(fi は質量分率,Hi は表 4 の相ごとの値),全体の水和度は α = Σfiαi/Σfi です. セッコウが尽きた後の C₃A の反応(AFm の生成)も,簡略化のため AFt と同じ 1672 J/g で数えています.

8.2 温度と水の制約

θ は反応の「時計」で,温度と水の両方の効果を含めて

(8) dθdt= exp⁡[−ER(1T−1293.15 K)] ·1−e−wcap/WS1−e−(w/c)/WS

で進めます.E = 40 kJ/mol は CEMHYD3D が推奨する見かけの活性化エネルギーです(ASTM C1074 を引用,参考文献 4). 水を補わない限り 20 ℃ に換算した材齢(等価材齢)と同じで,5 ℃ では速さが 0.41 倍,35 ℃ では 2.2 倍になります. wcap は反応に使える毛細管の水(セメント 1 g あたり)で,封かんでは w/c − 0.42α,水中では w/c − 0.36α(§9),乾燥ではさらに蒸発した水 Eev を引きます. 養生(封かん・水中・乾燥)と温度は練り混ぜる前に決め,途中では変えません(途中で水中に移すと,蒸発した水を補う計算が別に要るため). 乾燥では dEev/dt = 0.06 h⁻¹ × wcap(仮の値)としたので,毛細管の水が 1 日ほどで抜け,水和が止まります. 第 2 の因子 φ は,練り混ぜた直後(wcap = w/c)で 1 になるように規格化した「水による反応の進みの倍率」です. 封かんと乾燥では WS = 0.12 としました.毛細管の水が減ると内部の湿度が下がり(自己乾燥),水が尽きる前から反応が遅くなることの模式です. 水中では外から水が入り続けるので,WS = 0.02 として,空隙が水和物で埋まる直前まで遅くならないようにしました(どちらも仮の値). その結果,普通セメント・20 ℃ の α(28 日)は,w/c = 0.30 の封かんで 0.62(φ = 0.31 まで低下),水中で 0.71,w/c = 0.50 の封かんで 0.69 になります. 低い w/c ほど養生の水が効く,という傾向を表しています(量は仮).

8.3 実測の例 2:望月 2016(減水剤の有無)

実測の例 1 は上の Jagličić ら(2025)の CEM I 42.5R です.例 2 は,先生ご自身が学部 4 年の研究で測った発熱曲線です(学士論文と,同じ試料の未発表の測定.参考文献 26,27.先生の指示(2026-09-25)で使用). 試料は研究用普通ポルトランドセメント(学士論文の「OPC」)と,市販の中庸熱・低熱セメントで,石灰石微粉末を加えない条件の曲線を使います. 測定はサンドイッチ型のコンダクションカロリメーター(12 点)で,注水後 3 h からです(それより前の練り混ぜ直後の山は別の装置で測り,ここでは使わない). 学士論文の条件は W/P = 0.32,ポリカルボン酸系の減水剤(分散剤)0.2 mass% で,温度は記録にありません.減水剤なしの測定(2016 年 4 月,未発表)は W/P と温度の記録がありません. シミュレーター②の発熱のグラフには,この 3 本を種類の色の点線で重ねられます(既定は減水剤なし.元データを 15〜30 分ごとに間引き,学士論文の曲線は 3〜4 h の装置の乱れの点を除いた).

表 4a 発熱曲線の実測(望月 2016)とモデル実測は 5 分間隔の元データから読んだ値.積算は注水後 3〜72 h(0〜3 h の分を含まない).モデルは w/c = 0.32,20 ℃,封かん(node で計算)
主ピークの時刻主ピークの高さ積算 3〜72 h積算の比(普通 = 1)
減水剤 0.2 %(学士論文):研究用普通/中庸熱/低熱22.2/29.3/30.0 h2.70/2.54/1.63 mW/g225/177/130 J/g1:0.78:0.58
減水剤なし(未発表):研究用普通/中庸熱/低熱6.8/8.4/7.7 h4.02/2.78/2.04 mW/g233/198/143 J/g1:0.85:0.61
モデル:普通/中庸熱/低熱12.6/12.7/12.7 h2.44/2.05/1.59 mW/g207/149/119 J/g1:0.72:0.57

読み方.減水剤はピークを 15〜22 h 遅らせます(ポリカルボン酸系の減水剤による凝結の遅れ).一方,72 h までの積算はあまり変わりません(研究用普通 225 と 233 J/g,低熱 130 と 143 J/g). したがって減水剤入りの曲線では,時刻をモデルと直接比べず,形(誘導期 → 加速 → 主ピーク → 減速)・種類の順序(普通 > 中庸熱 > 低熱)・積算の比を見ます. 積算の比は,モデルの 1:0.72:0.57 が実測の 1:0.78:0.58(減水剤入り),1:0.85:0.61(減水剤なし)とおおむね合います(中庸熱はモデルがやや小さい). 主ピークの時刻は,中庸熱・低熱では減水剤入りで 29.3/30.0 h,減水剤なしで 8.4/7.7 h(減水剤なしの山は 7.7〜9.0 h で平ら)と種類によらずそろっていて(表 4a にない市販の普通も 28.8 h/9.1 h),モデルが段階の境目を組成によらず共通にしたこと(§12)と矛盾しません.研究用普通だけが早いのは,粒子が細かいため(体積基準の中位径 11.8 µm.市販の 3 種は 16.6〜19.2 µm)と考えられます. 減水剤なしの実測は,モデルよりピークが早く高くなっています.W/P と温度の記録がないので,この差の理由(温度が 20 ℃ より高かった可能性など)は分かりません(確認事項 11).

8.4 流動性 ― 水の量と減水剤(見かけ粘度)

固まる前のペーストの流れやすさは,水の量で大きく変わります.講義 第 01 回 スライド 15 の「練り混ぜ水を減らすと硬化体の空隙が減って強くなる」の裏返しで,水を減らすとペーストは流れにくくなり,型に詰められなくなります.そこで減水剤を使って,流れやすさを保ったまま水を減らします. 先生の学士論文(参考文献 26)とその準備の測定では,応力制御型の回転粘度計(二重円筒)で,せん断応力を 240 秒かけて 0.54 → 200 → 0.54 Pa と変えて流動曲線(ずり速度とせん断応力)を測りました(20 ℃). 見かけ粘度は,流動曲線の 200 Pa の点と原点を結ぶ直線の傾き(応力 ÷ ずり速度)で,ニュートン流体とみなしたときの粘度です.降伏値があるペーストでも一つの数で比べられます.

表 4b 水粉体比 W/P と見かけ粘度の実測(mPa·s,20 ℃)望月 2015〜2016.減水剤なしは 2015 年の測定で,普通は市販の普通(推定).減水剤 0.2 % は学士論文の値で,普通は研究用普通.「―」は測っていない
W/P減水剤なし 普通中庸熱低熱減水剤 0.2 % 普通中庸熱低熱
0.50(測定失敗)(測定失敗)58(目安)―――
0.40220268281―――
0.35774505690―――
0.32―――211208198
0.3041351649流れない291(限界)326347
0.28――――442(限界)505
0.26―――――976(限界)

減水剤なしでは,W/P を 0.40 から 0.30 に減らすと見かけ粘度が数倍〜約 20 倍になり,低熱の 0.30 は 200 Pa まで応力を上げても流れませんでした(降伏値が 200 Pa を超える). 減水剤 0.2 % では,W/P 0.30〜0.32 で減水剤なしの W/P 0.40 と同じくらいの粘度(200〜350 mPa·s)になり,同じ流れやすさのまま水を約 2〜3 割減らせます. 測定の限界.「限界」は,学士論文で見かけ粘度を測れた最も小さい W/P です.それより水が少ないと,流動曲線が振動したり試料が円筒の面で滑ったりして,値が信頼できません. また,この粘度計は水を 4.8 mPa·s と読む(真の値は約 1 mPa·s)ので,100 mPa·s 未満の値は目安です. シミュレーター③のいちばん下のグラフはこの表を対数目盛りで描き,いまの水/粉体比に縦の線を引きます.モデルは流動性を計算していません(実測を並べるだけ).

9. Powers のモデル ― 空隙とゲル空間比

Powers と Brownyard は,セメントペーストの体積を「未水和のセメント」「水和生成物(ゲル:固体とゲル水)」「毛細管空隙」に分けました(参考文献 14,15). セメントの比体積 0.32 cm³/g,非蒸発水 wn = 0.23α(比体積 0.72 cm³/g),ゲル水 wg = 0.19α(比体積 1 cm³/g)とすると,セメント 1 g の水和で

(9) Vゲル=0.32α+0.72×0.23α+0.19α≈0.68α

ができます.ペースト全体の体積 w/c + 0.32 に対する体積分率は

(10) φ未水和=0.32(1−α)w/c+0.32, φゲル=0.68αw/c+0.32, φ毛細管=w/c−0.36αw/c+0.32

で,3 つの合計は 1 です. ②の読み取り値の「未水和のセメント」は,相ごとの水和度とセッコウの消費(AFt に使われた分)から計算するので,式 (10) の第 1 式とは少し違います(普通・w/c = 0.5 で,1 時間 0.356(式 0.371),6 時間 0.345(0.365),28 日 0.110(0.120).差は最大 2 ポイント). 「水和生成物」はその残り(1 − 未水和 − 毛細管空隙)なので,初期ほど式 (10) より大きく出ます(1 時間で 0.056,式では 0.041).X とモデル強度は式 (11) で計算します(28 日の X 0.653.生成物と毛細管空隙の比から求めると 0.657). 封かんでは毛細管空隙のうち w/c − 0.42α が水で満たされ,残りの 0.06α は化学収縮でできた空の空隙です(0.23α × (1 − 0.72) ≈ 0.064α). 毛細管の水がなくなると水和は止まるので,封かんで完全に水和できるのは w/c ≥ 0.42,水中なら 0.36 以上のときです(上限 αmax ≈ (w/c)/0.42). Brouwers(2004)は現在の CEM I では約 0.39 と再評価しています(参考文献 14). 実際には,封かんでは水が尽きる前から内部の湿度が下がって反応が遅くなるので(自己乾燥),28 日の α はこの上限より小さくなります(§8.2).

図 2 Powers のモデルによる体積分率(w/c = 0.50,封かん).水和が進むと,水で満たされた毛細管空隙がゲルに置き換わる

ゲルが自分と毛細管空隙を合わせた空間のうちどれだけを占めるかをゲル空間比 X と呼びます.

(11) X=0.68α0.68α+(w/c−0.36α) =0.68α0.32α+w/c ,fモデル=234X3 MPa
モデル強度の扱い 234X³ MPa は Powers が自分の試料(セメントペースト)で得た経験式で(原典未確認,参考文献 15),モルタルやコンクリートの強度ではありません. シミュレーターではこれを「モデル強度」と書き,実測強度が反応率から一意に決まるような表示にはしていません. w/c = 0.5,α ≈ 0.7 のモデル値 67 MPa が JIS モルタルの 28 日強度 62〜64 MPa(参考文献 16)と近いのは,偶然に近いと考えてください.

空隙率と強度.講義 第 01 回 スライド 15 の右図は,Lian ら(2011)がポーラス(透水性)コンクリートで測った空隙率(15〜35 %)と圧縮強度の関係で,空隙が少ないほど強く,下に凸な曲線で単調に下がります(同論文は Griffith の破壊の理論に基づく空隙率と強度のモデルを提案している.式は原典で確かめていないので載せない.参考文献 25). スライドの本文のとおり,練り混ぜ水を減らすと硬化体の空隙が減り,強度は指数関数的に増えます. Powers の式 (11) でも同じ向きになります.普通セメント・20 ℃・封かんの 28 日で,w/c = 0.40,0.50,0.60,0.70 の毛細管空隙率は 22.1,30.6,37.7,43.6 %,モデル強度は 95,65,46,33 MPa です. これを f = f0 exp(−kp)(p は空隙率 %)で近似すると,w/c 0.40〜0.70 の 7 点の最小二乗で k ≈ 0.049 /%,f0 ≈ 290 MPa になります(この教材で計算した派生値). シミュレーター③の 3 枚目のグラフはこの関係を描きます.材料(ペーストとポーラスコンクリート)も空隙の大きさも違うので,スライドの図と数値を比べることはできず,傾向だけが同じです.スライドの図の点や読み取った数値は使っていません.

10. 凝結 ― 固体のつながり

Bentz(2006/2007)は CEMHYD3D で固体のつながり(パーコレーション)を計算し,ビカー針の凝結と比べました. その結果,凝結の時点ではまだセメントの 4〜8 % しか水和していないが,粒子どうしを結ぶ骨格はできている,と報告しています(参考文献 13). 粒子の間隔が広い(w/c が大きい)ほど,つながるまでに多くの生成物が要るので,凝結は遅れます. Jagličić ら(2025)も,ビカー針の凝結の始発は加速が最大になる時刻 tm や ASTM の立ち上がり時刻 tASTM とよく一致すると述べています(CEM I 42.5R で tm = 7.0 h,tASTM = 6.2 h,参考文献 12).

シミュレーター②は,粒子の外側に張り出した C–S–H の「毛羽」が隣の粒子に届いたらつながったとみなし,窓の左右の端がつながった時刻を凝結としています. 2 次元の図では 3 次元より粒子どうしが離れて見えるので,毛羽の長さを「C–S–H を全粒子の表面に均一に広げたときの厚さ」の κ = 33 倍としました. C–S–H の量は,C₃S と C₂S の反応量からモル体積 108 cm³/mol(C₁.₇SH₄,表 4)で求めた体積です.ただし練り混ぜ直後の反応(式 (7) の a0 の項)でできる C–S–H は,粒子の表面の薄い層で隣の粒子へは届かないとして数えません. 毛羽の量には C–S–H だけを数え,C₃A からできる AFt・AFm と C₄AF の水和物は骨格にならないとしています.C–S–H は液から析出してどの粒子の表面にも付くので,毛羽はセッコウ以外のすべての粒子(C₃A を含む)に同じ長さで付け,内部図にも判定と同じ粒子に同じ長さで描いています. κ は CEM I 42.5R の凝結が tm = 7.0 h に近くなるように選んだ仮の値で,モデルの凝結は 7.5 h(α = 7.5 %)です. 粒子は,w/c = 0.30 に合わせて拡大しても重ならないように間隔をとって置いています(はじめから粒子どうしが触れていると,w/c が小さいとき練り混ぜた直後につながってしまうため). 普通セメント・20 ℃ では w/c = 0.3,0.5,0.7 で 6.3 h,7.3 h,8.0 h,そのときの水和度は 6.7 %,7.7 %,8.4 % で,Bentz の「4〜8 %」とおおむね合います(α には C₃A と C₄AF の練り混ぜ直後の反応の分,約 3 % を含む.付録 A.5). 凝結の時刻は粒子の配置(乱数の種)によっても変わります.種を 20 通り変えると,普通の w/c = 0.3,0.5,0.7 で 6.1〜7.0 h,7.0〜7.8 h,7.6〜8.4 h,4 種の全体では 5.8〜9.3 h に散らばります(標準偏差 0.14〜0.41 h). w/c = 0.5 の種類による差(普通 7.3 h,中庸熱 7.4 h,低熱 7.8 h,CEM I 7.5 h)はこの幅と同じ程度なので,モデルではセメントの種類による凝結の違いは区別できません. なお,製品例の凝結の始発 2 時間 10〜15 分(参考文献 16.標準軟度の w/c ≈ 0.27)と比べると,モデルの w/c = 0.3 の 6.3 h は約 2.9 倍遅く,凝結の時刻は目安です(仮).

11. セッコウとセメントの違い,よくある誤解

表 5 セッコウとセメントの固まり方
セッコウ(焼石膏)ポルトランドセメント
析出する場所液の中(過飽和の液から核生成)主に粒子の表面(C–S–H が粒子を覆い外へ育つ)
生成物二水セッコウ(針状〜板状)1 種類C–S–H(ゲル),CH(板),AFt(針),AFm(薄板)
固まる仕組み針が絡み合って網目になる生成物が隣の粒子に届いて粒子どうしを結ぶ
時間の目安凝結 十数分,反応はほぼ 1 時間凝結 数時間,反応は数週間〜年
完全な反応に要る水w/p = 0.186w/c ≈ 0.42(封かん)
余った水乾かすと抜けて気孔(式 (6))毛細管空隙として残り,水和物が少しずつ埋める(式 (10))
「水が蒸発して固まる」のではない証拠 (1) 反応は発熱する(セッコウ 132 J/g,セメント 7 日で約 330 J/g). (2) 水の一部が結晶水・構造水として取り込まれ,乾かしても抜けない(セッコウを乾かすと粉より 18.6 % 重い). (3) 水が十分にある(蒸発していない)うちに固まる.セッコウもセメントも水中で凝結する. (4) 逆に,セメントを乾かすと水和が止まり,弱いまま残る(シミュレーター②の比較条件 F). ただし,セッコウでは余った水が抜けるとさらに強くなることが知られています(Lewry と Williamson 1994 の要旨,参考文献 22).「固まる」ことと「乾いて強くなる」ことは分けて考えます.

12. シミュレーターのモデルと簡略化

付録 A. シミュレーター(hydration-simulator.html)で見ていること

この付録で分かること 対になるシミュレーター hydration-simulator.html の各タブが何を描き,どの操作が何を意味し,数値がどんな式と値で計算されているか. 文献値・経験式・仮の値(教育用に選んだ値)を区別して書きます.

A.1 ページ全体

3 つのタブがあります.①セッコウ(焼石膏+水),②セメント(ポルトランド),③固まり方を比べる. どのタブも,左上に装置の図(恒温槽の中の容器,温度計,スパチュラ,針),右上に材料の中の模式図,その下にグラフ,凡例,「ひとこと」(今の操作で何が変わったか),読み取り値が並び,右(スマートフォンでは下)に操作欄があります. 装置の図・内部図・グラフ・読み取り値は,すべて同じ状態(計算の結果)から描いています. アドレスの末尾に #gypsum,#cement,#compare を付けるとそのタブが開き,?embed=1 で見出しと導入文を隠した埋め込み用の表示,?only=cement のように書くとそのタブだけ(タブの列も隠す)になります. 再生中にタブを切り替えたり画面を隠したりすると,アニメーションは止まります.

A.2 ① セッコウ(焼石膏+水)

操作の順序.「① 粉を入れる」→「② 混ぜる」(1 分.混ぜている間,装置の図と内部図で粉が水中に散っていく)→「③ 時間を進める」(再生/一時停止.「+5 分」「一気に 120 分」もある)→「④ 乾かす」(40 ℃,仮).前の工程の状態を引き継ぎます. w/p(0.40〜1.00),粉の種類,温度(5〜60 ℃)は粉を入れる前だけ変えられます.「④ 乾かす」の後は,装置の図が型から出した塊(網目がつながる前に乾かしたときと二水の粉では,固まっていないので皿に広げた粉)を乾燥機(40 ℃,仮)の棚に置いた図に変わります.「リセット」で最初に戻り,同じ条件なら同じ結果になります(乱数の種は固定). 時間は短縮してあり,表示の 1 秒が実験の 2,5,15 分(選べる)です.

内部図.半水の粒(丸.溶けると小さい粒から消える),液のイオン(Ca²⁺ は丸,SO₄²⁻ は三角.数は液の CaSO₄ 濃度に比例),二水の針(紫.左右の端をつなぐ網目に加わった針は濃い紫)を描きます.縮尺は目安(100 µm の棒)です. 粒のまわりの溶解と再析出を次の約束で描きます. (1) 液の地の色は二水に対する過飽和 S = c/c二水 で塗ります(S ≤ 1 は水の色,Smax で最も濃い藤色.液全体の S は早くから Smax に近づくので,色の割合は ((S − 1)/(Smax − 1))2.5 とし,右下の色の帯と ▼(いまの液全体の S)も同じ約束). (2) 粒が溶けている間は,粒のまわりの幅 δ = 14 px に,表面で Smax(半水の溶解度),外へ行くほど液全体の濃さへ下がる色を重ねます(両端はモデルの量,間の分布は模式). (3) もとの粒の輪郭 r0 を細い破線で残し,溶けている粒の縁(幅 2.5 px)は淡く,溶ける速さに比例して小さく波打たせます. (4) 粒の縁から出るイオン(白い縁どりと尾のある Ca²⁺・SO₄²⁻)の数は溶ける速さに比例し,そのうち「析出の速さ/溶ける速さ」の割合のイオンは 30 px 以内の最も近い針へ向かって消え,残りは液へ散ります(液が濃くなる).位置は時刻と番号だけで決めるので,同じ状態なら同じ図になり,再生中だけ動きます. (5) 二水の核は粒のまわりの濃い液の中(粒の中心から rL − 0.3δ〜rL + δ.粒の内側に入るときは縁の外へ出す)に生まれます(§4.1).粒が密に並んでいるので,核の位置の偏りは図ではほとんど見えません. 計算では液を一様としており,粒のまわりの濃さの分布とイオンの流れは,その計算に模式で重ねたものです. グラフ.上段は反応率 α と発熱速度(132 J/g × dα/dt,mW/g),下段は液の濃度と,半水・二水の溶解度(破線).二つの破線のあいだが過飽和の範囲です. 読み取り値.粉 100 g あたりの質量の収支(半水,二水,溶けている CaSO₄,自由な水,合計.乾かすまで合計は一定),水和に使われた水(固体の結晶水から粉にもとからあった ½H₂O の分を引いた量.乾かした後も変わらない)と乾かしたときに蒸発した水,体積の割合,乾かした後の気孔率. 乾かした後は液がないので,液の濃度と過飽和は「―(液なし)」と表示します.

授業で試せる比較(「比べる」の A〜G.選ぶと 120 分まで計算した結果を表示し,「結果を残す」で次の条件と重ねられます.「前回を消す」で消えます): A 標準(w/p 0.60,20 ℃)と B 水が多い(1.00)・C 水が少ない(0.40)で凝結の時刻と乾燥後の気孔率を比べる. D 40 ℃・E 60 ℃・F 5 ℃ で,温めるほど速いとは限らないことを見る(60 ℃ では過飽和が小さく核が少ない).「ひとこと」は,同じ w/p で 20 ℃ のときの凝結時刻と比べ,速いか遅いかを結果から書きます(例:50 ℃ は核が少ないが 20 ℃ より 1.4 分速い,60 ℃ は 3.6 分遅い). G 二水の粉では過飽和にならず,固まらない(失敗例).途中(例えば 10 分)で「乾かす」と,未反応の半水が残る(失敗例).

表 A1 ①の代表条件でのモデルの値(20 ℃)node でシミュレーターの関数を直接呼んで計算(付録 A.5)
w/p代表の針の本数α = 0.5 の時刻α = 0.9 の時刻凝結(α)乾燥後の気孔率
0.4011127.0 分52.5 分13.6 分(0.18)33 %
0.608827.0 分52.5 分15.4 分(0.22)47 %
0.807327.0 分52.5 分17.4 分(0.27)56 %
1.006227.5 分52.5 分19.6 分(0.32)63 %

反応率の進み(α の時刻)は w/p にほとんどよらず,凝結の時刻と気孔率だけが w/p で変わります.これはモデルで核生成を粒の表面に比例させたためで,実際には水が多いほど反応も遅くなるという報告もあります(確認事項 3).

表 A2 ①の計算に使った値
量値区分・出典
モル質量 CaSO₄,H₂O136.14,18.015 g/mol文献値
密度 半水,二水/二水のモル体積2.74,2.32 g/cm³/74.21 cm³/molCEMHYD3D(参考文献 4).β 型の半水は密度がやや低い可能性(要確認)
溶解度(0〜100 ℃)表 2Azimi ほか 2007 の図の読み取り(参考文献 1)
水和熱132 J/g 半水CEMHYD3D(参考文献 4)
溶解の速さ Kd0.08 min⁻¹仮の値
核生成 J0,B40 本/min,1.7仮の値(式 (4) の形)
成長 gL,gW,ℓc12,0.07 px/min,40 px仮の値(式 (5))
速さの温度係数 E30 kJ/mol仮の値
凝結の判定左右の端をつなぐ網目模式(Morgado ほか 2019 の考え方,参考文献 10).0.2 分ごとに調べる
粒のまわりの濃い液の幅 δ/核の位置14 px/rL − 0.3δ〜rL + δ模式.既定の種は,種を 80 通り変えたときの凝結の中央値(w/p = 0.60 で 15.6 分)に近い列を選んだ(既定は 15.4 分.範囲は 12.4〜22.4 分.§4.3)

A.3 ② セメント(ポルトランド)

操作の順序.「① 粉を入れる」→「② 混ぜる」(3 分)→「③ 時間を進める」(「次の時刻へ」は 1,3,6,12 時間,1,3,7,28 日と,凝結の始発・終結で止まる.「一気に 28 日」もある). セメントの種類,w/c(0.30〜0.70),温度(5〜60 ℃),養生(封かん/水中/乾燥)は,粉を入れる前だけ変えられます. 時間の進み方は後になるほど速くなります(表示の 1 秒 ≈ 1.2 時間,のちに経過時間の約 0.36 倍). 内部図の上の 3 つの箱は,ペーストの固さの段階「流動 → 凝結 → 硬化」と,いまの段階と各段階の始まりの時刻です.始発は凝結の判定(粒子どうしがつながった時刻,§10),終結は針の沈みが 0.5 mm になった時刻(凝結からの反応の時計 θ の進み 1.25 × (1 − √(0.5/39)) ≈ 1.11 h.刻みの中で補間)です. 普通・w/c = 0.50・20 ℃・封かんでは,流動 0〜7.3 h,凝結 7.3〜8.4 h,硬化 8.4 h〜です(w/c = 0.30 で 6.3〜7.4 h,0.70 で 8.0〜9.1 h). 発熱の段階(誘導期・加速期・減速期)は別の分類で,凝結は加速期の途中で起こります.

内部図(講義の図と同じ見え方.既定).講義 第 01 回 スライド 15 の図と同じ約束で,同じ状態から描きます.未水和の粒子は灰色の角ばった多角形(頂点 5〜7.相ごとに明度を少し変える.面積は πr²),セメント中のセッコウは淡い灰の細長い形,水は水色,C–S–H・CH・AFm・C₄AF の水和物はまとめて黄土色の層(黒い短い繊維の模様.外縁は粒子ごとに ±8 % 波打つ),AFt は C₃A の粒子のまわりの濃紺の短い棒(長さは AFt の量から),空の空隙は白(破線)です. 層は反応した面積に比例して各粒子へ配り(溶けた跡を埋め,余りが外へ張り出す),塗った図の水色+白の面積が毛細管空隙率(水+空)に合うように,層の重なりと窓の外へ出る分,AFt の棒と外側の繊維が水の上にかかる分を係数で補います(格子 4 px で数えて二分法で決める). 細い繊維は画面の倍率(装置の画素/図の 1 px)が小さいほど多くの画素にかかるので,繊維が覆う割合(倍率 2 で 8 %,倍率 1 で 9.5 %.輪が重なる所は重なりの数に応じて増やす)と外側の繊維の本数(倍率 1 では 0.7 倍)を倍率に合わせます.AFt の棒も同じ理由で,覆う面積を倍率 1 では 1.5 倍,倍率 2 では 1 倍に見込みます(間は倍率で直線補間).倍率が 1 より小さいとき(装置の画素比 1 の画面で図が小さいとき)は,同じ直線を倍率 0.5 まで延ばして使います(合わせ込みの範囲の外なので目安).粒子の縁の線は多角形の内側だけに描きます. 空の空隙(白)は層と粒子の下に描くので,隠れる分を見込んで円を大きくし,見える白と水色の割合を capE:capW にそろえます(乾燥で空が多いときは,水色の円で同じことをする).白は外側の繊維の薄い地の後に描くので色がつきません.乾燥で地が白(空の空隙)のときは,薄い地を塗らずに繊維だけを描きます. その外側の疎な C–S–H(凝結の判定と同じ外縁 R + 毛羽の長さ)は,水色の地に薄い黄土と細い繊維を重ねて描き,水(毛細管空隙)として数えます.凝結でつながった塊の外側は地を少し濃くして,つながりが見えるようにしています(水色として数える範囲の濃さ). 講義の凝結の図は水和物を厚く描いた模式で,モデルの凝結(普通 w/c 0.50 で生成物は体積の約 9 %)では黄土色の層はまだほとんど見えません.画面の msg と 3 段階の図の下にこの違いを書いています.この外縁で凝結を判定しているので,図のつながりと凝結の時刻が一致します(密な層が判定の外縁を越えることは,凝結の前にはない). 「流動・凝結・硬化を並べる」をグラフで選ぶと,同じ条件で計算した流動(誘導期の中ほど,θ = 2 h),凝結(始発の瞬間),硬化(表示中の時刻が硬化の段階ならその状態,そうでなければ 28 日)の内部図を並べます(スマートフォンでは縦). 内部図(相ごとに色分け).未水和の粒子を相ごとに色と形で描き分けます(C₃S 六角,C₂S 丸,C₃A 四角,C₄AF 扁平な五角,セッコウ 細長い菱形).どの形も面積が同じ半径の円(πr²)と等しくなるように大きさをそろえてあり,未水和の面積の割合は読み取り値の体積分率と一致します(凝結の判定は同じ面積の円で行う). 粒子は相ごとに小さいものから溶けて小さくなり,C–S–H は粒子を覆う殻と外へ伸びる毛羽(セッコウ以外のすべての粒子に付く.左右の端をつなぐ塊に加わった毛羽は濃い青),C₄AF の水和物は薄茶色の殻,CH は六角板,AFt は C₃A のまわりの赤い針,AFm は薄い板で描きます. 地の色は毛細管空隙で,水(青)と,化学収縮や乾燥でできた空の空隙(白)を区別します.生成物・空隙の面積の割合も読み取り値の体積分率に合わせています(生成物どうしの重なりの分だけずれる).

グラフ.「発熱速度」は 0〜72 h の発熱速度と段階(初期・誘導期・加速期・減速期),海外の実測例(Jagličić 2025)の主ピークを ×,誘導期の終わり 3.7 h を赤い短い点線(ラベル付き)で示します.この印は 20 ℃ の値なので,温度を変えても動きません. 「実測を重ねる」では,望月 2016 の研究用普通・中庸熱・低熱の発熱曲線(§8.3,注水後 3 h から)を,モデルの種類の色(普通 橙,中庸熱 青緑,低熱 紫.CEM I のモデルの線は濃紺)の点線で重ねます.選べるのは「なし」「減水剤なし(既定.未発表,W/P・温度の記録なし)」「学士論文(W/P 0.32,減水剤 0.2 mass%)」で,選んだセメントと同じ種類の線を濃く描きます(モデルの線の色も種類で変わる).凡例に条件を,グラフの下に「減水剤はピークを 15〜22 h 遅らせるので,時刻はモデルと直接比べず,形・順序・積算の比を見る」などの注記を書きます. 読み取り値の最後に,3〜72 h の積算発熱の実測(学士論文 225/177/130 J/g,比 1:0.78:0.58.減水剤なし 233/198/143 J/g,比 1:0.85:0.61)と,モデルを実測の W/P に近い w/c = 0.32(20 ℃,封かん)で計算した値(207/149/119 J/g,比 1:0.72:0.57.ページの中で計算)を並べます.セッコウを使い切った時刻には茶色の破線が出ます. 「相ごとの水和度」は対数の時間軸で 4 相と全体の α,水が尽きる上限(封かん (w/c)/0.42,水中は空隙が埋まる上限 (w/c)/0.36).「空隙率とゲル空間比 X」は毛細管空隙率,X,モデル強度 234X³.「流動・凝結・硬化を並べる」は上に書いた 3 枚の内部図. 「結果を残す」を押すと,どのグラフにも前回の線が灰色で重なり,凡例に条件が出ます.読み取り値の「水による反応の進みの倍率 φ」は式 (8) の第 2 の因子です.

授業で試せる比較(A〜H):A 標準と B w/c 0.3・C 0.7 で空隙率とモデル強度を比べる(B は封かんで毛細管の水が減り,6 日ほどで「水が足りなくなってきた」と出て反応が遅れ,α(28 日)0.62 にとどまる.「結果を残す」を押してからリセットし,養生を「水中」にして B と同じ条件で計算すると 0.71 になる.どちらも空隙が少ないので強い). D 5 ℃・E 35 ℃ で発熱のピークの時刻が変わる(Arrhenius).F 乾燥させると水和が止まり弱い(失敗例).G 低熱セメントは C₂S が多く発熱が小さく,C₃A が少ないのでセッコウが 28 日まで残り(読み取り値),7 日から 28 日の α の伸び(0.41 → 0.59)が普通(0.54 → 0.69)より大きい割合になる.H CEM I 42.5R の組成で実測の主ピーク(×)と比べる.

表 A3 式 (7)・(7a) の係数(仮の値.θ,ti,τ の単位は h,k は h⁻¹)C₃S・C₂S・C₄AF は a0 + A + B = 1,C₃A は a0 + Bs + A + B = 1.C₃A の第 4・5 項の起点は ti ではなく式 (7b) の θsd.C₃A の第 3 項は Bx = 0.494,τx = 300 h.Avrami の指数 n は 2 以上
相a0τ0BsτstiAknBτDβD
C₃S0.0350.18――1.420.2230.07853.040.74272.50.567
C₂S0.0050.60――6.930.2150.0099420.7807391.58
C₃A0.1910.370.31530.2θsd0.05450.07092.130.4401110.329
C₄AF0.1060.50――2.250.2200.0080620.67411101.80
表 A4 ②のモデルの値(普通セメント,20 ℃,とくに書かないものは封かん)node で計算.凝結は窓の左右がつながった時刻(実測の始発より遅めの目安.§10)
w/c凝結(α)α(7 日)α(28 日)毛細管空隙率(28 日)Xモデル強度
0.306.3 h(0.067)0.500.6213 %0.84140 MPa
0.30(水中)6.2 h(0.067)0.550.717 %0.91178 MPa
0.406.8 h(0.072)0.530.6722 %0.7495 MPa
0.507.3 h(0.077)0.540.6931 %0.6565 MPa
0.708.0 h(0.084)0.550.7144 %0.5233 MPa
0.50(乾燥)7.5 h(0.077)0.290.2948 %0.339 MPa

A.4 ③ 固まり方を比べる

同じ水/粉体比(0.40〜0.70.セッコウは w/p,セメントは w/c)で,セッコウとセメントの内部図を「混ぜた直後」「凝結したとき」「反応が進んだ後(セッコウ 2 時間,セメント 28 日)」の 3 時点(ボタンは講義 スライド 15 の段階の名前で「流動(直後)」「凝結」「硬化(反応後)」)で並べます. 温度は 20 ℃,セメントは普通(表 3)・封かんで,セメントの内部図は講義の図と同じ見え方です. グラフの左上は凝結までの時間(セッコウは分,セメントは時間.目盛りが違う),右上は反応が進んだ後の気孔率(セッコウは乾かした後,セメントは毛細管空隙率)で,いずれも 0.40〜0.70 を 0.05 刻みで計算した値です. 下のグラフは「28 日の毛細管空隙率 → モデル強度」(セメント,同じ 7 点)と,その指数関数の近似(§9 の f0 exp(−kp))で,いまの w/c の点を強調します.講義 スライド 15 の右図と同じく,空隙が少ないほど強くなる傾向を見ます(数値は比べられない.§9). セッコウは「液の中で針が育って絡む」,セメントは「粒子の表面から育った水和物が粒子どうしを結ぶ」という違いと,どちらも水を増やすと凝結が遅れ気孔が増えることを見比べます. いちばん下のグラフは,W/P と見かけ粘度の実測(望月 2015〜2016,表 4b,対数目盛り.減水剤なしは 2015 年の測定)です.実線と ● が減水剤なし(W/P 0.50〜0.30.低熱の 0.30 は流れなかった印の上向きの矢印),破線と □ が減水剤 0.2 %(W/P 0.32 から測れた限界まで.限界の点に ×)で,色はセメントの種類です. 縦の線は水/粉体比のスライダー(0.40〜0.70)に連動し,読み取り値に,減水剤なし・減水剤 0.2 % のそれぞれでその W/P で測った値を出します(測っていない W/P ではそう書く).実測の多くは 0.26〜0.35 にあるので,もう一つのスライダー「粘度のグラフの縦の線」(0.26〜0.70)で縦の線だけを水の少ない側へ動かせます(モデルの計算は 0.40〜0.70 のまま).W/P 0.50 より水の多い範囲は実測がないので薄く塗り,100 mPa·s 未満も目安として薄く塗ります. 講義 スライド 15 の「練り混ぜ水を減らすと強くなる」(上の強度のグラフ)と,「水を減らすと流れにくくなる.減水剤で流れやすさを保ったまま水を減らせる」(このグラフ)を並べて見ます.

A.5 計算の検算

シミュレーターの物理・化学の関数は,ページの中で画面の部品と切り離して書いてあり(MODEL-BEGIN と MODEL-END の間),node で直接呼んで次を確かめました.

確認事項(先生に確認)

セッコウ・セメントの実験資料は 2026 年 9 月 24 日の時点で未着のため,次の点は仮の値・仮の扱いで作っています.2026 年 9 月 25 日の先生の回答で,先生ご自身の学部の研究のセメントの測定(参考文献 26,27)を使ってよいことになり,§6 の注記と §8.3,§8.4 に使いました(解決:6 の組成の式の由来.未解決:11).

  1. セッコウの出発原料は β 型(焼石膏)でよいか.α 型(硬石膏)なら,より速く固まり,必要な水も少ない(指示書が挙げる Seiller ら 2021 は α 型の論文).
  2. セッコウの水/粉体比(既定 0.60 は仮),練り混ぜの時間と方法,型,凝結の判定法(ビカー針・ギルモア針・指で押すなど),乾燥の条件(40 ℃ は仮).
  3. 水の量による反応の速さの違いを実習で見るか(モデルでは反応率の進みは w/p にほとんどよらず,凝結と気孔率だけが変わる).
  4. 温度の条件(室温か恒温か).温度による凝結の速さの変化(40 ℃ 付近で最も速い)は模式で,一次資料で確かめていない.
  5. セメントの種類(普通でよいか),水セメント比(既定 0.50 は仮),養生の条件と観察する材齢,強度試験をするか(するなら供試体と材齢).
  6. 講義 第 01 回 スライド 14 の鉱物組成の出典(スライドに記載がない).先生の学士論文の元データ(参考文献 26)から,普通は Bogue の式(SO₃ 補正あり),中庸熱・低熱は Taylor の式(SO₃ 補正なし)の値と分かった(§6).どちらかの式にそろえるか(シミュレーターはスライドの値のまま).セメントの中のセッコウの量(普通 4.9 %,ほか 4.5 % は仮の値).モデルはセッコウを C₃A だけが使い,練り混ぜ直後に多く使う形なので,製品例の SO₃ 2.10 %(4.5 %)をそのまま普通に使うと,セッコウが主ピークより前(11.0 h)に尽きてしまう.実際の製品は主ピークの後に尽きるように調整されているので,普通は C₃A との比を CEM I(実測で主ピークの後の約 15 h に尽きる)とほぼ同じにした(14.8 h に尽きる).CEM I の実際の硫酸塩(無水石膏 3.5 %,半水 1.2 %)は mol で約 3 割多いが,C₄AF や C–S–H に使われる分を数えていないので 4.5 % を使っている(§8.1 のモデルの限界).
  7. スライド 15 の文献表記「C. Liana, Y. Zhugeb, S. Beechama」は,C. Lian, Y. Zhuge, S. Beecham(Constr. Build. Mater. 25(11), 4294–4298 (2011),参考文献 25)の誤記と思われる(所属の記号 a,b が名前に付いたもの.ポーラスコンクリートの空隙率と強度の研究で,セメントペーストの水セメント比と強度の関係ではない).
  8. スライド 15「硬化」の図の濃紺の針状の結晶は何か(エトリンガイトか水酸化カルシウムか).教材ではモデルの AFt(エトリンガイト)を濃紺の棒で描いている.
  9. 実習の生成物の写真(SEM など)があれば,内部図の生成物の形・大きさをそれに合わせたい.
  10. セメントの凝結試験をするなら,その方法と結果の目安(モデルの凝結は,CEM I の熱量計の tm に合わせてあり,製品例のビカー始発 2 時間 10〜15 分より遅い).発熱を測るなら,その条件(練り混ぜから測定開始までの時間).
  11. 望月 2016 の発熱の測定(12 点熱量計)の温度と,減水剤なしの測定(2016 年 4 月)の W/P.記録がないので,画面と §8.3 では「W/P・温度の記録なし」と書き,時刻は目安としている.減水剤なしの粘度(2015 年)の普通が市販の普通でよいか(研究用普通は 2016 年から使用).

このページの数値は,本文中の式と表の値から計算したものです.速度の係数と凝結の判定は教育用の仮の値で,特定の製品の性質を予測するものではありません.図はすべてこのページで描いたもので,文献の図の複製ではありません.

対になるシミュレーター:セッコウ・セメント ― 水を加えると,なぜ固まるか

  1. G. Azimi, V. G. Papangelakis, J. E. Dutrizac, “Modelling of calcium sulphate solubility in concentrated multi-component sulphate solutions”, Fluid Phase Equilib. 260, 300–315 (2007).―― 表 2 の溶解度(図の読み取り).
  2. USGS, PHREEQC Version 3 documentation, Example 2. water.usgs.gov.―― 25 ℃ の二水の溶解度 15.1 mmol/kg.
  3. PHREEQC database llnl.dat(USGS).―― 半水・二水の log K と生成熱.Y. Tang ほか, ACS Omega 4, 7636 (2019). doi:10.1021/acsomega.8b03476
  4. D. P. Bentz, “CEMHYD3D: A three-dimensional cement hydration and microstructure development modeling package. Version 3.0”, NISTIR 7232 (2005). tsapps.nist.gov.―― 密度・モル体積・生成熱,相ごとの水和熱,活性化エネルギー 40 kJ/mol,半水の水和熱 132 J/g.
  5. J. W. Bullard, E. Enjolras, W. L. George, S. G. Satterfield, J. E. Terrill, “A parallel reaction-transport model applied to cement hydration and microstructure development”, Modelling Simul. Mater. Sci. Eng. 18, 025007 (2010). doi:10.1088/0965-0393/18/2/025007.―― HydratiCA(指示書の NIST のリンク先.CEMHYD3D とは別のモデル).
  6. S. J. Gurgul, G. Seng, G. R. Williams, “A kinetic and mechanistic study into the transformation of calcium sulfate hemihydrate to dihydrate”, J. Synchrotron Rad. 26, 774–784 (2019). doi:10.1107/S1600577519001929
  7. M. La Bella ほか, J. Appl. Cryst. 56, 660–672 (2023). doi:10.1107/S1600576723002881
  8. J. Seiller, D. Bonnal, J. Adrien, S. Meille, S. Tadier, E. Maire, A. Bonnin, “4D in situ monitoring of the setting of α plaster using synchrotron X-ray tomography with high spatial and temporal resolution”, Constr. Build. Mater. 304, 124632 (2021). doi:10.1016/j.conbuildmat.2021.124632(抄録の範囲で参照)
  9. J. Adrien ほか, Cem. Concr. Res. 82, 107–116 (2016). doi:10.1016/j.cemconres.2015.12.011(抄録の範囲)
  10. G. Morgado ほか, J. Cryst. Growth 507, 124–133 (2019). doi:10.1016/j.jcrysgro.2018.11.006(抄録の範囲)
  11. I. Darmawan, O. Willy, J. A. Budiman, J. Dent. Res. Dent. Clin. Dent. Prospects 14, 167–170 (2020). doi:10.34172/joddd.2020.036
  12. A. Jagličić, T. Gädt, M. Hofmann, J. Therm. Anal. Calorim. (2025). doi:10.1007/s10973-025-14162-3.―― 発熱曲線の特徴時刻と CEM I 42.5R の鉱物組成.
  13. D. P. Bentz, “Cement hydration: building bridges and dams at the microstructure level”, Mater. Struct. 40, 397–404 (2007). doi:10.1617/s11527-006-9147-3.―― 凝結時の水和度 4〜8 %.
  14. H. J. H. Brouwers, “The work of Powers and Brownyard revisited: Part 1”, Cem. Concr. Res. 34, 1697–1716 (2004). doi:10.1016/j.cemconres.2004.05.031
  15. T. C. Powers, T. L. Brownyard, “Studies of the physical properties of hardened portland cement paste”, J. Am. Concr. Inst. 18 (1946–1947).T. C. Powers, “Structure and physical properties of hardened portland cement paste”, J. Am. Ceram. Soc. 41, 1–6 (1958).(原典は未確認.体積の定数は文献 14,強度の式 234X³ は二次資料で確認)
  16. 太平洋セメント「普通ポルトランドセメント」製品カタログ,UBE 三菱セメント「普通ポルトランドセメント N」データシート(2023.04).―― 鉱物組成の製品例,SO₃,水和熱 7 日 332 J/g・28 日 384 J/g,JIS モルタル強度.
  17. JIS R 5210(ポルトランドセメント),ASTM C1074(成熟度法).
  18. 「無機材料学」第 01 回 講義スライド 14(セメントの歴史と Bogue 式の鉱物組成),15(セメントの水和過程と,コンクリートの空隙率と強度).
  19. H. F. W. Taylor, Cement Chemistry, 2nd ed., Thomas Telford (1997).―― セメント化学の略号と生成物の一般的な説明(本教材の数値には使っていない).
  20. M. Avrami, “Kinetics of phase change. I”, J. Chem. Phys. 7, 1103 (1939). doi:10.1063/1.1750380
  21. P. Freiesleben Hansen, E. J. Pedersen, “Maturity computer for controlled curing and hardening of concrete”, Nordisk Betong 1, 21–25 (1977).L. J. Parrot, D. C. Killoh, “Prediction of cement hydration”, Br. Ceram. Proc. 35, 41–53 (1984).(いずれも原典未確認.式の形と考え方だけを借りた)
  22. A. J. Lewry, J. Williamson, J. Mater. Sci. 29, 5524–5528 (1994). doi:10.1007/BF00349943(要旨の範囲)
  23. J. Li, S.-L. Zhang, “Finite-size scaling in stick percolation”, Phys. Rev. E 80, 040104(R) (2009). doi:10.1103/PhysRevE.80.040104.―― 2 次元の線分のパーコレーションのしきい値(本教材の計算には直接使っていない).
  24. W. A. Gutteridge, J. A. Dalziel, “Filler cement: The effect of the secondary component on the hydration of Portland cement. Part I. A fine non-hydraulic filler”, Cem. Concr. Res. 20, 778–782 (1990).(原典は未確認.相ごとの水和度は参考文献 4 の図 2 から読み取った)
  25. C. Lian, Y. Zhuge, S. Beecham, “The relationship between porosity and strength for porous concrete”, Constr. Build. Mater. 25(11), 4294–4298 (2011). doi:10.1016/j.conbuildmat.2011.05.005(書誌は Crossref で照合.内容は抄録の範囲.図は複製していない).―― 講義 スライド 15 の右図の出典.
  26. 望月泰英,学士論文「セメントの粉体特性と濃厚系セメントペーストの流動性」,東京工業大学 工学部 無機材料工学科(2016 年 2 月).―― 発熱曲線(W/P 0.32,減水剤 0.2 mass%),W/P と見かけ粘度(表 4a,4b),鉱物組成の計算(§6).先生の手元資料(非公開).
  27. 望月泰英,未発表データ(2015〜2016 年.学士論文と同じ試料の,減水剤なしの見かけ粘度(2015 年)と発熱曲線(2016 年 4 月)).先生の手元資料.