Green 関数と Feynman 図形 ― 電子の海に電子を 1 個入れて,消してみる

無相互作用の Fermi 海(電子の海)に,電子を 1 個付け加え,しばらくたってから取り除く. その「付け加えた励起がどれだけ生き残っているか」を記録する複素振幅が 1 粒子 Green 関数 G(x,y) です. ①では 1 次摂動の 6 個の Feynman 図形(図9.1),②では 2 次摂動の 10 個の図形(図9.8)を 1 枚ずつ選び, 「図形上の事実」→「代表的な物語のアニメーション」→「数式の因子」の 3 層で読みます. ③では自己エネルギーの実部・虚部がスペクトル関数と寿命にどう現れるかを動かして確かめます. Feynman 図形は電子の古典的な軌跡ではなく,積分式の「線のつなぎ方」を表す帳簿である――これが全編を貫く主題です. ④では主役を電子からフォノンに替え,調和振動子を G0,3 次・4 次の非調和項を頂点として,ループ・タッドポール・バブルの 3 図形を読み,厳密解のある Morse 型ポテンシャルで Dyson 方程式の答え合わせをします.

これは「模式図で語る Green 関数」です.図形は Fetter–Walecka『多粒子系の量子論 理論編』(邦訳)の 図9.1・図9.7・図9.8・図9.16 のトポロジーに合わせて描き直したもの,記法(iG = ⟨T[ψψ†]⟩,縦軸が時間,波線の両端は同時刻,閉ループ 1 個につき −1)も同書に従います. アニメーションの「物語」は直観のための代表的な時間順序の 1 つであって,実際には内部頂点の時刻・運動量はすべて積分されます. ③の線幅は Fermi 液体の形 −Im Σ ∝ ξ² + (πkBT)² を持つ模型で,特定の物質の計算ではありません. 詳しい導出と 16 図形の完全な読み方は Green 関数はなぜ図形で計算できるのかへ. 第 2 量子化の復習は調和振動子もどうぞ.
(望月研究室『線形応答理論入門』付録C では,同じ図をそれぞれ 図C.2・図C.7・図C.11・図C.12 と呼んでいます. このシミュレーターでは原典の番号 図9.1・図9.7・図9.8・図9.16 で通します.)