観測できる量を得るには,なぜ対角化が要るのか

― 講義ノート「(14) スピン行列における基底変換」から,測定の規則まで(学部 2・3 年生向け)

行列の対角化は,線形代数の講義では「固有値を求めて,固有ベクトルを並べて,はい終わり」と 手続きとして教わりがちです.ところが量子力学に入ると,対角化はいきなり 「測定とは何か」そのものになります. 測って出てくる値は固有値,測ったあとの状態は固有ベクトル ―― この 2 行を認めた瞬間,「観測できる量を知りたければ対角化するしかない」ことが決まってしまうのです.

結論を先に 行列は「基底を 1 組決めたときの,演算子の顔つき」でしかありません. 基底を取り替えると顔つきが変わり(A′=U†AU), うまく選べば非対角成分が全部消えます.

そして,非対角成分が残っているうちは「この値がこの確率で出る」という読み方ができません. 期待値を素朴に ∑iλi|ci|2 と数えると,非対角成分の分だけ取りこぼします. 対角化は,その取りこぼしをゼロにする作業です.

1. 行列は「基底に対する顔つき」でしかない

演算子 Aˆ そのものは,基底とは無関係に存在します. 「行列」が出てくるのは,正規直交基底 |e1⟩,…,|en⟩ を 1 組決めて,成分を書き出したときです.

(1) Aij=⟨ei|Aˆ|ej⟩

基底を別の組 |ej′⟩ に取り替えるとどうなるか. 新しい基底を古い基底で展開した係数を並べた行列を U とすると

(2) |ej′⟩=∑iUij|ei⟩ A′=U†AUU†U=I
大事なのは「何が変わって,何が変わらないか」 変わるのは成分の並びだけです.行列式・トレース・固有値は変わりません (detA′=detA, trA′=trA). 物理量は基底の取り方によらない ―― あたりまえのようですが,これが効きます. シミュレーターのタブ②で,α をどう動かしても ⟨σx⟩ が変わらないのがその実演です.

2. まず図で ― 対称行列と「主軸」

量子力学に入る前に,対角化の幾何的な意味を見ておきます. 実対称行列 A に対して xTAx=1 の描く図形は,固有値が両方とも正のとき(正定値のとき)楕円になります(符号がちがえば双曲線です.以下は楕円の場合を考えます). その楕円の軸(主軸)が固有ベクトル,半軸の長さが 1/λ. 座標軸を主軸にそろえた瞬間に,行列から非対角成分が消えます.

左:xTAx=1 の楕円と,その主軸(太い線). 灰色の破線がいま選んでいる座標軸です. 右:その座標で見た A の成分. 座標軸を主軸に重ねたとき,そのときだけ赤い非対角成分が消えます.

「対角化」は,絵で言えばこれだけのことです 図形はひとつも動いていません.動いているのは,それを測るものさし(座標軸)のほうです. ものさしを図形の軸にそろえると,記述がいちばん簡単になる ―― それが対角化です. 量子力学でも事情はまったく同じで,動かすのは状態ではなく基底のほうです.

3. 観測できる量は,エルミート演算子でなければならない

ここから量子力学です.測定して出てくる値は実数でなければなりません. 長さが 3 + 2i メートルということはありえないからです. この当たり前の要請が,演算子の形を決めてしまいます.

Aˆ|ψ⟩=λ|ψ⟩ として,両側から ⟨ψ| をかけると

(3) λ⟨ψ|ψ⟩=⟨ψ|Aˆ|ψ⟩=⟨Aˆψ|ψ⟩=λ∗⟨ψ|ψ⟩

真ん中の等号で Aˆ†=Aˆ(エルミート性)を使いました. ⟨ψ|ψ⟩>0 ですから λ=λ∗,つまり固有値は実数です. 逆に,どんな状態で測っても期待値 ⟨ψ|Aˆ|ψ⟩ が実数になる演算子は, 必ずエルミートです.この意味で 「測定して実数しか出ない」ことと「演算子がエルミートである」ことは,同じことの表と裏なのです (固有値がたまたま全部実数,というだけではエルミートとはかぎりません. [1102] がその例です).

同じ計算から,もうひとつ大事なことが出ます. 異なる固有値をもつ 2 つの固有ベクトルは必ず直交します.

(4) (λ1−λ2)⟨ψ1|ψ2⟩=0
なぜ直交していないと困るのか 直交していて,しかも空間全体を張っていれば(それを保証するのが次の §4 のスペクトル定理です), 任意の状態を |ψ⟩=∑ici|i⟩ と一意に分解でき, ci=⟨i|ψ⟩ で係数が取り出せます. この分解ができるからこそ,|ci|2 を確率と読むことができます.

4. スペクトル定理 ― エルミートなら,必ず対角化できる

§3 の 2 つを合わせると,次が言えます(スペクトル定理). エルミート行列 A に対して,固有ベクトルを列に並べたユニタリ行列 U が必ず取れて

(5) U†AU=[λ10⋯0λ2⋯⋮⋮⋱] A=∑iλi|i⟩⟨i|

2 行目はスペクトル分解と呼ばれる書き方で, 「A とは,固有値 λi を重みにして, 固有状態への射影 |i⟩⟨i| を足し合わせたもの」と読みます. 演算子を,測定値と,その値が出る状態の組にばらしてあるのです.

エルミートでなければ,こうはいきません 一般の行列は対角化できるとは限りません(Jordan 標準形にしかならないものがあります). 「観測できる量はエルミート」という要請が,「必ず対角化できる」ことを保証している ―― この順序が大切です.物理の要請が先で,数学の定理が後からついてきます.

5. 測定の規則 ― ここで対角化が要る

量子力学の測定の規則は,次の 2 行です.

測定の規則 (i) 物理量 Aˆ を測ると,出てくる値は固有値 λi のどれかである.
(ii) 状態 |ψ⟩ でそれが出る確率は P(λi)=|⟨i|ψ⟩|2=|ci|2. 測定したあとの状態は |i⟩ に変わる.
(6) |ψ⟩=∑ici|i⟩ci=⟨i|ψ⟩

この |i⟩ が固有ベクトルであることに注意してください. つまり測定の規則が「係数の絶対値二乗が確率」というかたちで読めるのは, 「固有ベクトルを基底にとった座標」だけなのです. 期待値も同じです.

(7) ⟨Aˆ⟩=∑iλi|ci|2

5.1 対角化していないと,何が起きるか

では,固有ベクトルではないふつうの基底で同じことをやるとどうなるか. |ψ⟩=∑ici|ei⟩ と展開して期待値を書くと

(8) ⟨Aˆ⟩=∑ijci∗Aijcj=∑iAii|ci|2+∑i≠jci∗Aijcj

第 1 項は (7) と同じ形をしていますが,第 2 項が余分に残ります. つまり「対角成分を値,|c|² を確率」と読む素朴な数え方は,非対角成分が残っているかぎり間違いです. どんな状態についてもこの取りこぼしがちょうどゼロになるのが,対角化したときだけ ―― これが答えです.

シミュレーターで確かめられます タブ②で α を 45° 以外にすると,読み取り値の 「⟨σx⟩(正しい値)」と「対角成分だけで数えた値」がずれます. そのずれが (8) の第 2 項です.α = 45°(対角化)でぴたりと一致します.

5.2 「確定値をもつ」とはどういうことか

ばらつき(標準偏差)を計算してみます.

(9) (ΔA)2=∑iλi2|ci|2−(∑iλi|ci|2)2

これは λi の「分散」ですから,固有値が全部ちがえば,ゼロになるのは ひとつの |ci| だけが 1(位相は自由)で,あとが全部 0 のときだけです. 縮退があるときは,同じ固有値に属する成分だけが残っていればよい ―― その重ね合わせもやはり固有ベクトルだからです. すなわち

物理量 Aˆ が確定値をもつ ⟺ 状態が Aˆ の固有ベクトルである
だから「この物理量を測ったらいくつになるか」を知りたければ, その物理量を対角化して固有ベクトルを見つけるしか道がないのです.

6. 同時に確定できるのは,交換するものだけ

2 つの物理量 Aˆ と Bˆ を同時に確定させたい ―― つまり両方の固有ベクトルである状態がほしい,ということです.それができる条件は

(10) [Aˆ,Bˆ]=AˆBˆ−BˆAˆ=0⟺同時に対角化できる

片方(⟸)は簡単です.共通の固有基底があれば,その基底で Aˆ も Bˆ も対角行列. 対角行列どうしは掛ける順番を変えても同じですから,交換子はゼロになります. 逆(⟹)も,縮退がなければ 2 行で出ます: Aˆ(Bˆ|i⟩)=BˆAˆ|i⟩=λi(Bˆ|i⟩) なので Bˆ|i⟩ も固有値 λi の固有ベクトル, つまり |i⟩ の定数倍.その定数が Bˆ の固有値です.

ここから 3 つのことが一度に出ます (a) 不確定性原理.[xˆ,pˆ]=iℏ≠0 なので,位置と運動量は同時に確定できません.
(b) 良い量子数.ハミルトニアンと交換する量([Hˆ,Aˆ]=0)だけが,エネルギー固有状態のラベルとして使えます. 水素原子の n, l, m がまさにこれです.
(c) 量子化軸は 1 本しか選べない.[σx,σz]≠0 なので, x 方向のスピンと z 方向のスピンを同時に確定させることはできません. ノート (14) で,同じ状態を「x 軸で量子化した表示」から「z 軸で量子化した表示」へ書き直しているのも,これと同じ事情です. どちらの軸で見ても確定値をもつ状態は作れないので,どちらか 1 本の軸を選んで書くしかありません(状態そのものは変わりません.§8).

7. 縮退があると,基底の選び方に自由が残る

固有値が全部ちがえば,固有ベクトルは(位相を除いて)一意に決まります. ところが同じ固有値が 2 つ以上あると(縮退),その固有値に属する空間の中では どんな直交基底を選んでもよいことになります.

これが球面調和関数の「複素 vs 実」の正体です Yl+mとYl−m は,エネルギーも Lˆ2 も同じ値をもちます. だから,この 2 次元の空間の中では基底の取り方が自由で, 複素のまま使ってもよいし,実の組み合わせ px, py に取り替えてもよい.どちらも同じくらい正しいのです.

では何が基底を決めるのか.「次に何を測るか」です. Lˆz を測りたいなら複素基底,結晶場の中でのエネルギーを測りたいなら実基底. 縮退を解く「摂動」が,基底を選んでくれるのです.

8. 例 1:スピン行列(講義ノート (14))

ノートの計算をたどります.x 方向のスピンを表すパウリ行列とその固有値・固有ベクトルは

(11) σx=[0110] λ=1:12[11]λ=−1:12[1−1]

この 2 本の固有ベクトルを,そのまま列に並べたものが U です.

(12) U=12[111−1]U−1=U†=U

この U は実対称かつ直交なので,自分自身が逆行列です (U2=I).ノートで U と U−1 をあまり区別せずに書けているのは,そのためです.挟むと

(13) U−1σxU=12[111−1][0110][111−1]=12[200−2]=[100−1]=σz

そして固有ベクトルのほうは,(11) の σx の固有ベクトル(λ=±1)をそれぞれ χ↑, χ↓ と書きます. 矢印はここでは x 軸方向の上下で,まだ z 方向の上下ではないことに注意してください.これを U で写すと

(14) Uχ↑=[10]Uχ↓=[01]
ノートの結び ―「これはまさに z 方向のスピンを表現する固有ベクトルである!!」 同じ物理状態が,新しい基底では「上向き」「下向き」そのものになりました. 物理は何も変わっていません.変わったのは,それを書き表すものさしです. x 方向のスピンを測る演算子 σx が σz の顔になった ―― これを 「量子化軸が x 軸から z 軸に変わった」と読むわけです.
Bloch 円では角度が 2 倍になります 基底を α 回すと,Bloch 円の上では 2α 回ります. α=45° で基底の軸がちょうど x 軸に重なり,そこで対角になります. この 2 倍は,スピン 1/2 を実空間で 360° 回すと符号が変わる(720° で戻る)ことの裏返しです. シミュレーターのタブ②で,弧の角度として見られます.

9. 例 2:球面調和関数 ― 実の軌道では確率流が止まる

±m の 2 次元空間を,実の関数 2 本で張り直します. C∝cosmφ, S∝sinmφ(px 型と py 型). 行列が実になるように,S のほうには位相因子 i を付けておきます(位相をかけただけなので,状態としては同じ実軌道です).この基底で Lˆz を書くと

(15) 実の基底{C,iS}:Lˆz=mℏ[0110] 複素の基底{Yl+m,Yl−m}:Lˆz=mℏ[100−1]

§8 の σx→σz とまったく同じ形です. 実の基底では Lˆz がまるごと非対角,つまりLˆz は確定値をもちません. 45° 回した複素の基底で対角になり,対角成分 ±mℏ が測定値になります.

では実の基底には何の取り柄があるのか.確率流です.

(16) j=ℏmeIm⁡(ψ∗∇ψ)

ψ が実関数なら Im がゼロですから,実の軌道では確率流がまったく流れません. 複素の軌道では位相が φ とともに回っていて,それがそのまま円環電流になります. ⟨Lˆz⟩ と確率流が同じ因子で同時に消えるのは偶然ではなく, どちらも「位相の回転」を測っているからです.

シミュレーターのタブ①の絵の見方 タブ①が描いているのは,軌道を赤道面(xy 平面)で切った断面です. 色が位相,濃さが |ψ|2. 複素の側では色が φ とともに m 回まわり,濃さは φ に依らないドーナツになります. 実の側では色が 2 色(位相 0 と π)だけになり,濃さが花びらになります ―― 教科書に載っている軌道の絵は,こちらの実の側です. なお l−|m| が奇数の軌道は,この面全体が節になって何も見えないので外してあります.
物性物理:軌道角運動量の凍結 孤立した原子では [Hˆ,Lˆz]=0 なので, エネルギーと Lˆz を同時に確定できます(複素軌道). ところが結晶の中では,まわりのイオンが作る結晶場 Vcf が加わり [Vcf,Lˆz]≠0. §6 により両方を同時に対角化することはできません. 結晶場が ±m の縮退を解いていれば,エネルギーのほうを対角化した固有関数は実の軌道に取れて, ⟨Lˆz⟩=0 ―― 軌道角運動量が消えます(quenching). 3d 遷移金属の磁性がほぼスピンだけで説明できるのは,これが理由です.

10. 例 3:連成振動から,フォノンへ

最後は古典力学の例です.ばねでつながれた 2 つの質点(質量はどちらも等しいとし,以下その値を 1 とします)の運動方程式は

(17) x¨=−DxD=[k1+κ−κ−κk2+κ]

非対角成分 −κ があるかぎり,2 本の方程式は連立したままです. D は実対称なので必ず直交行列 R で対角化でき

(18) RTDR=[ω1200ω22]y=RTx ⟹y¨k=−ωk2yk(独立な単振動が 2 本)

固有値が振動数の 2 乗,固有ベクトルが基準振動です. 基準座標 yk で見れば,ただの単振動が 2 本並んでいるだけになります.

「うなり」は,基底がずれていることの現れです 質点 1 だけを引いて放すと,エネルギーが質点 1 と 2 のあいだを行ったり来たりします. これは 2 本の基準振動が少しずれた振動数で重なっているために見えるもので,その周期は 2π/|ω1−ω2| です. 逆に,基準振動のどちらか一方だけで始めれば,いつまでもその形のまま振動し続けます. うなりが見えるのは,選んだ座標が基準座標からずれているときだけなのです.
ここから先が,そのまま固体物理です 原子が N 個ある結晶なら,同じことを 3N×3N の動力学行列でやります. 対角化して出てくる 3N 本の基準振動がフォノンで, 固有値が振動数の 2 乗.比熱も熱伝導率も,まずこの対角化から始まります.

固有値が負(ω2<0)になれば, その方向にずらすとエネルギーが下がるということですから,構造が不安定です. 第一原理計算で結晶の安定性を判定するときに見ているのは,まさにこの符号です.

11. 数値で確かめる

確かめたこと一致
(2) 相似変換で非対角がゼロになり,対角成分が固有値になる(実対称 400 例)最大差 < 6×10−15
トレースと行列式が基底によらない< 6×10−15
(12)(13) U−1=U,U−1σxU=σz< 3×10−16
(14) Uχ↑=[10],Uχ↓=[01]厳密に一致
(7) ⟨Aˆ⟩ が基底によらない(234 通り)< 5×10−16
(8) 対角成分だけで数えたときのずれ対角化前 最大 1.000 / 対角化後 < 4×10−16
実の球面調和関数 C, S が規格直交(4 軌道)< 6×10−10
(15) ⟨Lˆz⟩=mℏsin2β(β は状態 cosβ⋅C+sinβ⋅iS の混合角.球面上の数値積分,36 通り)< 6×10−10
(15) 実の基底で Lˆz=mℏ[0110]< 6×10−10
(16) 確率流を数値微分で作り,解析式と比べる< 3×10−14
(16) 実の基底では確率流がゼロ< 4×10−19
(10) σx を対角化すると σz の非対角が 1.000 になる同時対角化は不可能
(10) 交換する 2 つは同じ角度で同時に対角化できる(200 例)< 4×10−15
(17) 解が x¨=−Dx を満たす(数値 2 階微分,60 例)< 9×10−8
(18) 基準振動だけで始めれば混ざらない / エネルギー保存< 6×10−17 / 相対差 < 2×10−8

12. まとめ

  1. 行列は「基底に対する顔つき」でしかない. 基底を取り替えると A′=U†AU と顔が変わるが, 固有値・トレース・行列式は変わらない (1)(2).
  2. 観測できる量はエルミートでなければならない. そこから固有値が実数,固有ベクトルが直交,そして必ず対角化できることが出る (3)(4)(5).
  3. 測って出てくる値は固有値,その確率は |⟨i|ψ⟩|2. だから固有ベクトルを基底にとらないと,測定の規則そのものが書けない (6)(7).
  4. 非対角成分が残っているうちは,期待値を「値 × 確率」に分解できない (8). 対角化とは,その取りこぼしをゼロにする作業である.
  5. 物理量が確定値をもつ ⟺ 状態がその固有ベクトルである (9).
  6. 同時に確定できるのは交換するものだけ (10). だから不確定性原理があり,良い量子数が決まり,量子化軸は 1 本しか選べない.
  7. 縮退があると,基底の選び方に自由が残る. 何を「良い基底」と呼ぶかは,次に何を測るかが決める. 球面調和関数の複素と実は,まさにこの自由の 2 つの選び方である.
  8. ノート (14):σx の固有ベクトルを列に並べた U で挟むと σz になり, 固有ベクトルは (1,0) と (0,1) に化ける ―― 量子化軸が x から z へ移った (11)〜(14).
  9. 実の軌道は Lˆz を非対角にするかわりに確率流を止める (15)(16). 結晶場のもとではこちらが良い基底になり,軌道角運動量が凍結する.
  10. 実対称行列の対角化は主軸変換. 連成振動なら基準振動,結晶ならフォノン (17)(18).

東京理科大学 望月研究室 / 講義ノート「(14) スピン行列における基底変換」より. §3〜§7 の測定の規則と可換性の部分,§9 の結晶場と軌道角運動量の凍結,§10 のフォノンへの接続は, ノートの範囲外を補ったものです. 目で見て動かせる例は シミュレーターのページにあります. 数値検証は 2×2 実対称行列の相似変換,球面上の数値積分,数値微分による確率流の計算による. 数式はブラウザ標準の MathML で組んでいます(外部ライブラリ・通信は一切ありません).